マレーシア移住計画前倒し、零細企業もチャイナ・プラス・ワン

 2~3年後に予定していたマレーシア移住は、来年2013年末に繰り上げることになり、調整を進めている。

 「チャイナ・プラス・ワン」は何も大手企業の特権ではない。当社のような零細企業もある意味でカントリーリスクとにらめっこしながら、できる限りの手を打つ必要があるだろう。現在90%近くの事業と売上が中国本土に集中しているが、徐々にASEAN地域の体制を立ち上げ、バランスのよい事業比率を作っていきたい。スピードアップが必要ということで、自分の居住基地を早急にクアラルンプールに移転する。

 もともと来年1月着工で、イポーで新築住居を建設する計画だが、1年半から2年の工期が長く、待っていられない。とりあえずクアラルンプールで賃貸を借りて住まいを構えようと計画を変更した。いきなり田園地帯のイポーに住むよりも、1年~2年まずクアラルンプールの状況を把握して、人脈やビジネスリソースを確保しておいたほうがメリットが大きいと、そう判断した。また、中国やASEAN諸国への頻繁な出張もあって、クアラルンプール空港という地政学的なものもあった。

 ここ2か月で、マレーシア移住計画の前倒しに至る経緯といえば、ひとつ、エア・アジアの上海・クアラルンプール便の開通。安い運賃はもちろんのこと、夕方から深夜にかけてのフライトタイムは、まさにビジネスに都合がよく、魅力的だ。もうひとつ、一番大きな原因は、いうまでもなく、9月の反日騒動だった。日中の海上対峙が一向収束する気配もなく、それに安倍氏の復権も時間の問題で、短中期的あるいは、言ってしまえば長期的にも日中ビジネスにプラス要因が見当たらない。しばらくすれば、小康状態に回復するかもしれないが、火種は消えることはあるまい。リスク分散は欠かせないという結論に至った。

 2014年から、毎月の半分は中国、残りはマレーシア、ASEAN諸国になる予定だ。愛犬2匹の出国手続きもすでに着手している(結構時間がかかるので)。何よりも心の準備。13年間住んできたこの街、上海に、あと1年で別れを告げることになる。多少のセンチメンタルがないと言ったらウソになる。

 中国事業の一部は集約することになるが、基本的に変更はない。新規受注はさらに、優良案件に資源を集中投入する方針も従来通りだ。部下の成長が早く、もはや心配することはない。逆に私がいないほうがプレッシャーが少ないので、成長がさらに早まるだろう。

 ということで、来年は40代最後の年に差し掛かり、新たな人生の舞台を求めて、旅立つ。