「納得」と「説得」、ロジック万歳のセミナー人気

 6月24日開催予定のセミナー「3階建・複線化改良型人事制度勉強会(13年版)」はあっという間に席が埋まって、すぐに7月1日再開催を発表すると、これもわずか2日で満席。ついに7月8日に再々開催。

 私のセミナーには人気があるようだ。しかも一般参加者1800元から2000元を取っても、来てくれるのが嬉しい。「立花さんの話術が凄い」と言われたりもするが、それは違うと思う。私は全体的に話下手な人だと思う。以前、日系メーカー勤務時代、朝礼当番の前夜は緊張して眠れないほど大勢の前でしゃべるのが嫌だった。

 ロイターに入ってから、外国人上司の前でプレゼンする必要に迫られた。自己主張しないと、正当な評価をしてもらえない。その自己主張というのは単なる「こんなに努力したよ」という、アピールではない。なぜ成功したか、なぜ失敗したか、これからどうするか、なぜなぜとなぜ責めの世界だ。外国人はとにかくロジック(論理回路)重視で、阿吽の呼吸は一切通用しない。

 「こうなっているんだ」というのは、通用しない。「なぜ、こうなっているんだ」の説明が必要で、さらにそれが納得しないと、どんどん遡って原因や理由の追及をする。コンサルタントになってから、法律の世界に突入した。法律というのも、基本的にロジック。ロジックが大好きになってしまうと、どんなことでもロジックを組み立てる習慣ができる。仕事ならまだしも、普段の生活にもロジック、ロジックでやっていると、リラックスできないじゃないかと妻に文句を言われたりする。

 セミナーとなると、もちろんロジックの塊になる。セミナー前の昼食時に、当日のセミナーで話したいことをロジックという一本のラインでつなげ、不合理性の有無を今一度確認、点検してから講壇に向かう。4時間の話は、お客様と同じレジュメで、法律条文の場所だけレジュメに目を落とすくらいで、あとはまったく原稿なし。

 コンサルタントの仕事は、「説得する」(I Love You)のではなく、「納得してもらう」(You Love Me)ことである。たとえ常識でも自分が納得できないものは決して持ち出さない。非常識がロジックで裏付けられた時点で、常識になるわけで、堂々としゃべる。時々、えっと思えるような非常識が常識になったとき、人間は少しくらいは感動を覚えるだろう。

 このような小さな感動に駆られて、私のセミナー会場に向かう方がいるのではないだろうか。だから、決して私の話術でなく、ロジックのお蔭だと思う。ロジックの力に感謝しなければならない。

 悩みは、納得しても行動を起こさない人、あるいは反対方向に動く人の存在である。たまに背中を押す必要もあるだろうが、私が社外の人間として押すべきかどうか、最近、正直結構悩んでいる。