私のメルセデス・ベンツ物語~マレーシア版

 この数日、MM2H免税車の購入手続で忙殺している。その理由と経緯を公開する。

 マレーシアの自動車は税金が高い。我々MM2H保有者の特権として、その税金が免除され、実際には一般市販価格より2割~3割も安く車を買えるわけだ。もうひとつ注目すべきは、マレーシアの中古車は日本で考えられないほどの高値相場で取引されていることである。5年落ちの中古査定は新車の7割や8割も珍しくない。10年落ちでも半額ほどの立派な値段で取引されているのだ。

99256_22013年4月、KLメルセデス・ベンツのショールーム下見中

 そこで、MM2H保有者は新車を買って、当座3年ほど売ってはいけないが、その後中古市場に出していい値段で売れれば、大変お得な買い物になる。何よりも、中古相場がなかなか落ちない車種が良く、それが何と言ってもあのメルセデス・ベンツである。ベンツは、マレーシアで絶大な人気があって中古でも一貫して堅調な相場を維持している。

 たとえば、40万リンギットのベンツ新車(E250)を免税価格(約30万リンギット弱)で買って、綺麗に乗っていれば5年後はほぼ買値の30万リンギットで売れる。えっ、5年間はただでベンツが乗れちゃうわけ?夢のような話だ。たとえば、10年乗って新車の半額(20万リンギット)で売ったとしても、10年間は10万リンギットの費用、年間1万リンギット、換算して1日28リンギット、つまり1日あたり900円でベンツのレンタカーを借りることになる(ここであくまでも極端に理想化したパターンを言っているのだが、やはりケースバイケースで若干上下する)。

99256_3KLメルセデス・ベンツのショールーム(E250)

 こんなこと、世の中にあっていいのかと、ついに私はベンツE250を買うことを決め、いま悪戦苦闘中だ。実は偶然にも私が選んだベンツE250は、なんと今夏モデルチェンジが予定されている。「レーダーセーフティパッケージ」の導入などのほかに、スタイルも若々しさとスポーティーさを取り入れ一新するという。が、私はどちらかというと、従来の、いかにもベンツらしいベンツの「古臭い顔」が大好きで、新型車でなくてもよかった。

 タイミングが良すぎるのか、悪すぎるのか。新型車発売の時期は、ヨーロッパや日本に遅れ、マレーシア市場は設計上の最終調整に手間取って、当初予定していた7月から8月、そして9月にずれ込んだ。しかし、私のMM2Hの免税車購入期限は取得後1年の今年7月で切れてしまう。現地のやり手の代行業者に頼みこんで、なんと、行政当局にいま陳情を出して 3か月の特別延期を申請しているのである。ダメかもしれないが、やってみようじゃないかと、陳情書を一昨日クアラルンプールにDHLで送って、たったいま役所に提出したという報告が来ている。もちろん、ベンツがダメになった場合に備えて、BMWとボルボのSUVを予備選択肢としても一応ディーラーと連絡を取り、バックアップ作業を進めている。

99256_4KLメルセデス・ベンツのショールーム(E250)

 なぜ、ここまでベンツにこだわるかというと、冒頭で書いた中古下取りのメリットも大きいが、ほかにもうひとつ大きな理由があった。実は、私と妻は交通事故からベンツで一命を取りとめた恐怖物語の持ち主である。2005年正月、台湾で温泉を楽しんだあと、白タク(でも乗ってよかった)のベンツで台北中正国際空港へ向かう途中、未明の暗闇中横町から飛び出す酔っ払い運転の車(しかも、無免許)に激突され、ベンツは突き上げられ直立状態で蛇行しながら横転直前に辛うじて停止した。妻は頭を軽く打って、私は奇跡的に無傷だった。ベンツの重厚な車体に守られたのだと事後、警察に言われた。

 安全性と安定性、やはりメルセデス・ベンツの右に出るものはない。私はそう信じ続けてきたのだ。