臨床と基礎、今日この日13年前の会社卒業と13年後の学校卒業

 6月30日付で、華東政法大学から、法学博士学位証と博士課程修了証書が交付された。そして、今日2013年7月1日、起業13周年記念日。

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 13年前の今日、会社から離れた。13年後の今日、学校から離れた。何だか順番が乱れている。正直、社会人になってからもう一回学生に戻るというのは貴重な体験で、勉強とは何かを改めて思い知らされた。

 学習の中身が変わった。――「Know How」 から「Know Why」に、知識そのものよりも学び方の習得に変わり、物事のメカニズムに目線が注がれるようになった。医学に例えれば、実務が臨床であって、学術的な基礎研究とオーバーラップしならの研究は実に面白かった。

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 法律の勉強は、決して条文の暗記でもなければ、判例のインプットでもない。私がもっとも興味を持ったのは、法理学と法経済学の二つの分野だった。

 法理学はまた法哲学ともいい、あるべき法ないし正しい法を探求する学問である。法のみなら、実務レベルでは法制度から人事制度まであらゆる制度のあるべき姿の成形に基礎を提供し、特に制度の中心的価値である正義問題の議論の進め方が今日のコンサル現場においても大きく役に立っている。

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 さらに、上記の基礎研究に加え、臨床研究となるのは法経済学である。法学と経済学の分野交差、多次元の研究であり、経済学のうち、特にミクロ経済学・ゲーム理論の観点や手法を利用して法的理論を分析、再解釈する学問である。企業法・経済法分野などで、何が合理的で認められるべきものなのか、何は不合理で否定されるべきものかを決定する背景的基準として用いられる場面がそれに当たる。私の場合、労働経済学における取引コストに焦点を当て研究を行った。労働法が社会法としての存在意義を吟味しつつ、公権力介入による経済学的な影響を理論的実証的な分析に取り組んだ。そこで、よく知られている「コース定理」や「パレート効率性」がツールとしての出番が多かった。

 ということで、正直欲張ってしまい、分野の裾を広げすぎたこともあって、深みの不足を自覚し、反省している。これからは実務中心だが、基礎研究もさらに掘り下げ、相乗効果をもって躍進したいと思う。