在中日本人経営者のレベルが低い?本当の問題は

 日々、中国でコンサルティングという仕事をしていると、いろんな日本人経営者に出会う。ここ数年、日本から中国に送り込まれた現地トップの全体的レベルが下がったとよくいわれるが、相対論的にそういう面があるかもしれない。ただ俯瞰的にみるとそれなりの原因がある。

 まず、日本企業の対中事業の全体的拡張にともなう総量増に対する比率問題。優秀な経営者人材が占める比率が相対的に下がっても仕方ない。言いたいのは、中国語力の問題ではなしに、経営者としての資質である。

 次に、中国事業のマクロ環境とミクロ環境の本質的な変化。間違いなく昔に比べて経営環境が悪化し、より多くの複雑な経営課題が課せられるようになった。日本国内の眼で現場を見渡しても、ときどき問題の根源所在すらわからない。対症療法的な問題解決に取り組んだところ、いたちごっこ的に次から次へとがん細胞のように問題が生まれる。

 最後に、派遣する会社の問題。日本本国でラインマネージャーを務める方で、いきなり中国拠点の経営者になれと言われても過重な任務だ。このような人事が乱暴すぎる。派遣された本人は自分の口から「私は無理よ」と言えないのがもっと過酷だ。ほかにも、いろいろ問題があるが・・・

 多くの日系企業では、問題が分かっても、問題解決ができないのが一番の問題。こういう縛りがある、ああいうルールがある。上下の関係、本社との関係・・・。いったらきりがない。私自分も日々、ただ苛立ちを覚え、かなり精神的に参った。マレーシアに住んでからだいぶ気持ちが楽になって、本当に良かったと思う。