身分モードの切り替え

 3泊の天津出張から上海に戻ってきた。

 S社の中堅管理職集中研修の第三陣。今回、教え込むのにかなり苦労したのは、「給料」のこと――。中堅管理職とは、マネジメントにかかわる従業員である。従業員の身分からすれば「給料」だったものを、管理職の立場になると、「コスト」としてみなければならない。

 このモードの切り替えがなかなかうまくいかない。自分自身の利益が絡んでいると、会社の管理職である身分を忘れ、すぐ利益主張に乗り出す傾向がある。多少あってもしかたがないが、労使闘争の様相を呈したらさすがにまずいだろう。

 私はコンサルタントとして、会社の利益と従業員の利益がどのポイントで最大化できるか、そのポイントを見つけて、双方に納得させるのが仕事だ。

 一方的自己利益しか考えないことは、決して良い結果にはならない。「給料を上げてくれ」と従業員が常に望んでいるが、では、「どのようなことになったら、会社が給料を上げてくれるか」、これを考えて、良い道筋を示していくことがもっとも賢いやり方ではないだろうか。