突然の解散総選挙と在中日系企業の時限爆弾処理

 突然の衆院解散と総選挙、安定政権なのにどうして今なのという声が多い。政権運営を「経営学的」な観点からみれば、適正な判断であろう。

 変革は体力のあるうちにやる。企業運営にも通じる法則だが、パラドックス的(逆説的)な、この常識をドライ、冷徹に捉えられるトップは実際に多くない。英系大手銀行HSBCはなぜかいつも利益がどんどん出ているときにリストラを行うのか。それはリストラに体力と余裕が必要だからだ。退職一時金も用意できないような企業では、リストラすらできず、そのまま沈没していく。

 いまは問題がないので、変革は要らない。これは経営者として失格だ。問題がないわけではない。経営者が見ていないか、見えないか、見て見ぬふりをするかである。多くの在中日系企業は、問題を先送りにしてきた。企業がどんどん弱くなってきたところでようやく気付いてそこで手術をしようとすると、すでに体力を失い、衰弱しきっている。

 「前任や前々任総経理時代の不作為で、ツケが回ってきた。時限爆弾のバトンタッチをずっとやってきた当社では、いよいよカウントダウンが始まった」。某社の総経理がこう直言する。時限爆弾の爆発を在任中に迎えようとする総経理が改革を決意する姿は誠に痛々しい。もっと早い段階でやれば、苦痛がもっと少なかったのではないか。今更言っても・・・。

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