冷血者と愚か者、最善と次善で語る社会主義

 「A young man who isn’t a socialist hasn’t got a heart; an old man who is a socialist hasn’t got a head」

 「社会主義者でない若者は冷血者、社会主義者である年寄りは愚か者」。元イギリス首相チャーチルの言葉。私自身は決して社会主義者ではない。若いころから冷血者であったものが年を取ってそこで愚か者から脱却したかどうかは定かではない。

 正確に言うと、社会主義を毛嫌いするわけではない。むしろそれが理想的な社会制度であり、人類が目指すべき方向だと思っている。ただそれがうまくいかない。おそらく人間が人間である限り地球上では実現できない。これが致命傷だ。

 実現不可の最善よりも、実現可能な次善。これが私の信条だ。リアリスト(現実主義者)には経営コンサルタントという天職があること、実にありがたい。実現できない理想は宗教にお譲りして無節操と言われても現実を追い続けるのがコンサルタントだ。もちろん理想主義者の経営者からは容赦なく切り捨てられ、一向に契約を取れそうにない。

 といっても、捨てる神あれば拾う神あり。同類の思考や信条をもつ経営者が世の中に存在していること、これもまたありがたい。自分の信条を曲げて商売の奴隷にならずに済む。それ以上素晴らしいことはない。

 今月中旬のベトナム講演会(ホーチミン、ハイフォン)では、一つのテーマとして「社会主義と儒教」を語る予定だ。これに限ってはベトナムと中国が共通している。