首を長くして首切られるのを待つ従業員、中国のリストラ百景

 在中日系企業から、リストラ関連の相談がここのところ急増している。大手企業の場合、不採算部門のアジアへの移転、事業・組織再編がミッションである。

 ご時勢だなと実感するときでもある。

 「三十年河東、三十年河西」という中国のことわざがある。古代の黄河が度々河床を変えていた。河床が変わった度に川沿いの村の相対位置も変わる。黄河の東にあった村が30年経つと黄河の西になったりする。国も企業もそして人生も永遠不変たるものは存在せず、移り変わるものだ。それが栄枯盛衰の原理だ。

 中国のリストラといえば、明日にも路頭に迷い、不安と恐怖に怯える人もいれば、「やった。待ってました。これで補償金もらえるぞ」と大喜びする人もいる。自己都合の離職なら中国では何ももらえない。そこで、首を長くしてク首を切られるのを待っている従業員もいる。

 このように、リストラ対象者が多様であるため、画一的なリストラ補償案ではうまくいかないのである。さらにいうと、中国ではリストラが当局の審査と承認が必要で、会社の経営難を証明しないといけない。それは実務的に大変難しい。すると、最終的にリストラができないという可能性も十分にある。特に不採算の特定部門の切り離しといった防御的リストラは実現の可能性がさらに低い。

 解決法はあるかといえば、ある。企業と従業員の双方にとって穏便で相対的公平かつ利益最大化するリストラ案を策定するのが私の仕事である。

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