経済は経済だけではない、法律も法学だけではない

 最近、中国経済の論文やコラムを読んでいると、単純なる経済学の観点からの議論が意外にも多いことに気付く。市場経済の原理という部分を見ても、中国は政体上完全な市場経済ではないことが明白だ。ならば市場経済原理を基礎とする経済や金融の理論で中国経済を解読、分析することは妥当するのだろうか。

 中国経済はどちらかというと、政治があっての経済である。だから、政治抜きにして経済を語れない。他の諸国も経済と政治の関連性があるだろうが、殊に中国ほど強いものも珍しい。政治経済学(Political Economy)というのは、経済学および政治学のそれぞれにおいて、多少なりとも他方の要素を持つと考えられる学際分野である。 その要素の交差をいかに立体的に見て行くかが大切だ。

 法律もそうだ。昨今の安保法制もそうであるように、単純な憲法学による議論と、国際政治学の目線を取り入れたものとはだいぶ景色が違ってくるはずだ。そもそも法の性質を考えれば、国際政治学抜きの「合憲」「違憲」論にどれだけの意義や実効性があるか、冷静に考えれば本質の洞察はそれほど難しいことではない。

 法律は政治だけでなく、経済にも強く関連している。法経済学という専門的な分野がある。私の法学博士論文も、経済学の観点から労働法上の解雇規制と無固定期間契約を分析し、労働法制に付随する取引費用を取り上げ、新たな景色を展開しようとする試みだった。

 現代社会が複雑で多様化が進むなか、従来の伝統的単一の学問や研究分野だけでは完結できなくなりつつある。複合的な要素の結合、立体的な研究、その辺は専門家や学者、メディアにとって新たな時代の要請ではないかと考える。

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