日式KTVの中国人客、上海の日本人市場はどこへ行く?

 「最近、中国語の歌が上手な日本人が多いですね」
 「あれは、中国人のお客さんですよ」

 先日、上海出張中に某顧客と一緒に行った日式KTVで私とマネージャーの会話。その話によれば、従来8割以上も占める日本人客はいま4割にまで減っているそうだ。日本料理店だけではない。飲み屋、娯楽業まで日中の客率が逆転している。

 90年代後半の香港を思い出す。当時も日本人相手だった日本料理店ではだんだん日本人客が減り、香港人客が増え続けた。数年後、ついに逆転現象が起こり、一部対応しきれない店が潰れてしまった。それに10年ほど遅れて上海も香港の後を追うような感じで、日本人客がいわゆる日系市場からフェードアウトしている。

 世界どこの街にも在住日本人向けの日本人市場が存在する。特に上海のような巨大日本人市場には、いろんな業者や個人が飛びつき、熾烈な競争が繰り広げられた。だが、それが今まさに限界が見えてきた。というよりも、ビジネスモデルの抜本的見直しを迫られている。上海から日本人が全撤退しない限り、ビジネスは存在する。需要をいかに読み、適正な対応をするかが肝心。逆に同業他社の撤退も相まって商売がしやすくなる、ということもあり得るだろう。

 景気便乗型のビジネスは景気に左右されるだけに、好景気のとき集中的に稼ぎ出す必要がある。それがダラダラしていると、利益が出るまで景気が悪化すれば、息切れしてしまう。

 何も外食や娯楽産業に限った話ではないが・・・。

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