笑顔が広告になる日、損して得するときもある

 連日、上海の日本料理店の話シリーズ。

 ご飯を食べながら、某居酒屋の店主と雑談。宣伝広告の話になって、基本的に広告をしないこの店は先月初めて某邦字フリーペーパーに広告を載せたらしい。開業○周年記念キャンペーンの宣伝だった。さあ、結果は?
 
 「全然ダメでした。広告を見てこられるお客様はほとんどいません。フリーペーパーにちょっと苦情をいうと、『お宅の割引が少ないから、客がきませんよ』と言われました。冗談じゃありません。月1回の広告で1万元近くかかるんですよ。大損でした。もう広告しません」

 さらに悪いことがある。

 「結局、割引キャンペーンでやってきたのは常連さんばっかりでした。『えっ、お宅の店も割引するんですか、またキャンペーンをやってね』と。まいっちゃいますよ」

 そういえば、私もフリーペーパーを見て行きつけの店が目に留まることが何度もあった。実に気の毒だった。フリーペーパー広告で逆効果になるとは本当に残念だ。掲載号のフリーペーパーがあるかと聞くと、見せてくれた。なるほど納得。とってもおいしい店なのだが、写真撮影も地味で宣伝文句もミスマッチだった。何よりも、某有名店の特別プロモーションの大型広告と隣り合わせのレイアウトであった。

 広告の製作や構成・レイアウトをもう一回しっかり練ってチャレンジしてみたらと薦めたが、「もう、いいです。広告のお金があったら、お客様に還元します。従業員の給料を上げます」

 傍でこれを聞いたウエイトレスたちの笑顔が素晴らしい。勘定して帰るまでその笑顔が絶えることはなかった。広告の損失はきっと取り戻せるだろう。この子たちの笑顔がどこの広告よりもいい広告ではないか。

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