日東電工事案(8)~実名と匿名の強弱関係

<前回>

 少しアングルを変えてみよう。この「日東電工シリーズ」、一連の記事に「小池さん」という読者からコメント投稿があった。私とのやりとりを以下転載する。

【小池】 2018年2月9日 17:20

 興味深い出来事です。

 領事館からのメールは、一般的な日本人の感覚からすると、当たり障りのない話であるように見えます。

 時事通信社が許可をとらず報道をするのは、取材をしたのであれば、報道の自由という点で問題ない(仕方がない?)。エリス社は報道機関ではないから、通常は対象の許可をとるか、または名前を伏せてケースとするべきだ。

 これは一般的な日本人の感覚からは離れていないと思います。

 ただ、立花先生のおっしゃられるような、越権行為かどうか、特定の企業の利益にのみ重きをおいていないか、同じ日本企業なのに一方に加担していないか等のご主張を読むと、うーん、それもそうだな・・・と思わされますね。

 やはり立花先生は、グローバルで型破りな方だということだと思います。小企業のロジカルな主張に日本の政府機関がどのように応対するのか、楽しみです。

【立花】 2018年2月9日 21:49

 報道機関でないからといって、実名を伏せる必要性をまったく感じません。当社は非顧客企業(契約に縛られない)の事例について、一貫して公開情報に基づいて実名を使用しています。それは受講者は、実名でネット検索によって自由に多元的な情報を収集し、より複眼的な視野を持てるからです。グローバルとか型破りとかそういう次元ではありません。原理原則に則って実施しているのみです。

 余談ですが、いままで当社の実名使用に抗議してきた日系企業は、日東電工とセイコーウォッチ(同社上海法人殺人事件の報道引用)の2社のみです。ただ領事館まで動員したのは今回の日東電工だけです。セイコーウォッチは中国の弁護士を通じて警告状を送ってきたが、内容はともかく手続的に正常であると思います。

【小池】 2018年2月9日 23:16

 >報道機関でないからといって、実名を伏せる必要性をまったく感じません。

 いや、間違っているとは言っていません。ただ、日本人の一般的な感覚とは異なると言っただけです。一般的でなくても間違っていないことはたくさんありますからね。

 あと、他社の名前を使うことは、「確かにそれは受講者は、実名でネット検索によって自由に多元的な情報を収集し、より複眼的な視野を持てるからです」というメリットがあるでしょうが、同時にセンセーショナルな広告効果もありますね。

 他社の名前を無料でしかも勝手に使って客寄せをしている、このように受け取って不快に思う人も当然いることでしょう。

 これも一般的な日本人の感覚に過ぎませんが、他人の不幸を利用するというのは、どうしても三面記事的な禁忌的の匂いがしますね。だからといって、それを日本人が嫌いでたまらないということではないのは立花先生もよくご存じの通りです。多くの日本人は三面記事が好きですから。

 >余談ですが、いままで当社の実名使用に抗議してきた日系企業は、日東電工とセイコーウォッチ(同社上海法人殺人事件の報道引用)の2社のみです。

 2社だけだからと言って、その他の会社が「お使い頂いて非常に嬉しい」と思っているとは言えませんね。

【立花】 2018年2月10日 10:27

 「一般的な日本人の感覚」ではサバイバルできない世界があるとすれば、「一般的ではない感覚」も必要になってくるでしょう。

 単なる他人の不幸を利用する三面記事ならば、数百円の週刊誌なら吊革広告に釣られて駅のキヨスクで購入するかもしれないが、数万円もするセミナーにせっせと代金を払ってきてくれると思いますか?

 当社セミナーの参加者の皆さんが、そこまで気前のいい野次馬だと思いますか?しかも、各地から飛行機に乗ってホテルに泊まってまで三面記事のセミナーを聞きに来ると思いますか?

 「事例を『お使い頂いて非常に嬉しい』と思っているとは言えない」というのも、あなたのいわゆる「一般的感覚」ですね。申し上げましょう、事例を使われた会社でわざわざそのセミナーに足を運んで、根掘り葉掘り問題の根源を探求し、改善と再発防止に多大な努力を尽くされた立派な日系企業もおられます。

 「一般的感覚」ではない事件当事者の日系企業もおられるわけで、世の中は「一般的感覚」の意味はあるのか、人それぞれの回答があっていいと思います。

 ただこのブログへのコメント欄もそうですが、匿名だからといって、誰かさんが無責任や無知なことを言いたい放題というのも、日本人の「一般的感覚」なのでしょうか。匿名と実名、ときどきそういう逆説的な現象もあるものですね。

 実名事例公開する人が負う責任とリスクは、おそらくブログの匿名コメントに慣れた無責任な人には理解できないでしょう。

【立花】 2018年2月10日 16:45

小池さん

 1つだけ確認があります。あなたのコメントに、「他社の名前を無料でしかも勝手に使って客寄せをしている、このように受け取って不快に思う人も当然いることでしょう」という表現について、その主語は明確になっていません。それは、「誰」を指しているのでしょうか。文脈的に、私あるいは当社のことを指していると理解していますが、いかがですか。

立花 聡

【立花】 2018年2月12日 10:08

小池さん

 返事を待っていますが、いかがですか。メールも送りましたが、まだ返信をいただいていません。

 あなたが匿名を支持する理由はようやく分かりました。言いたい放題言って、言ったことに責任取らずじまいできるからですね。

 例の事例公開もそうです。実名にした以上、言ったことにすべてしっかり責任を取らねばならないのですよ。その辺ご自身の言説に照らして考えてもらいたい。

 匿名だから簡単に名前を変えて投稿すればよい。IPアドレスやメールアドレスも変えられます。ただ、ある顧客に先般言われたことを思い出します。

 顧客「立花さんは実名、コメント投稿者は匿名。そもそも議論といってもその立場の強弱の差で、傍観者もしっかり見ています」

 立花「それは実名の私が断然不利なのは分かりますよ」

 顧客「いいえ、全然違います。匿名のほうが弱いのです。無責任で言いたい放題できること、よく考えれば誰もが分かることですから、実名のほうのハンディが逆に有利に働きます」

 なるほど、思わず納得。私の顧客を「三面記事好きで実名事例セミナーに釣られてやってきた」という小池さん、あなたは自分の「一般的感覚」を勝手に人に当てはめると、結局自分の人格がそのまま露呈することになります。

 匿名の優越性はここなのです。自分の人格を知らぬうちにさらけ出してしまうことです。仮面の下の人格は仮面で変わることがない。たった1つの人格なのです。

<次回>

2 thoughts on “日東電工事案(8)~実名と匿名の強弱関係

  1. 小池です。

    日東電工と領事館側から回答がなくてイライラされておられるのでしょうか。こちらに矛先が向けられてびっくりしております。

    私からの回答にそれほどご執心があるとは思っていませんでした。先の質問は、
    **************************
    1つだけ確認があります。あなたのコメントに、「他社の名前を無料でしかも勝手に使って客寄せをしている、このように受け取って不快に思う人も当然いることでしょう」という表現について、その主語は明確になっていません。それは、「誰」を指しているのでしょうか。文脈的に、私あるいは当社のことを指していると理解していますが、いかがですか。
    **************************
    でしたね。

    「他社の名前を無料でしかも勝手に使って客寄せをしている、このように受け取って不快に思う人も当然いることでしょう」の主語ですが、「(立花先生が)他社の名前を無料でしかも勝手に使って客寄せをしている、このように受け取って不快に思う人も当然いることでしょう」という補足でよろしいでしょうか。

    1.  まず、「イライラしたうえで、矛先を誰かに向けられる」という事象は、仮説の1つとして存在し得ます。これも小池さんのご自身の「一般的感覚」から来ていると思えば大変納得します。これからもあなたはあなたのそうした「一般的感覚」を持ち続けるでしょうから、それも大変結構なことです。

       ちなみに、日東電工側からは面会を求めてきましたが、これを断りました。総領事館側は総領事面会を私から求めましたが、当事者である領事による面会にしか応じず、それでは意味がないので、それも断りました。それでイライラする必要があるかどうかご推断に委ねれば結構です。

       次に、主語が明確にされましたので、よく理解できました。その想定で「日東電工事案(8)」を投稿しすでに述べましたが、繰り返し、補足しますと、

       ① あなたが提起した「不快に思う人も当然いることでしょう」は事実である一方、その反面の事実も存在します。「不快に思わず(あるいは思いつつも)、事例を使われた会社でわざわざそのセミナーに足を運んで、根掘り葉掘り問題の根源を探求し、改善と再発防止に多大な努力を尽くされた立派な日系企業もおられる」。あえて実名を申し上げますと、パナソニック社です。私は立派だと思います。パナソニック社の対応は、「一般的感覚」ではないかもしれませんが、その経営姿勢に敬意を表したい。

       ② 「客寄せ」のことですが、それもあなたがもっている「一般的感覚」に基づく推論でしょうが、仮説としてはむしろその可能性が大きいかもしれません。その仮説で行きましょう。実名出しの三面記事による客寄せにまんまと乗せられ、1人数万円のセミナー受講料まで払ってくれる参加者が多数現れた(当該セミナーは満席開催できたのも、集客力があってのことですかね)ことについて、さすがに「一般的感覚」では納得できないでしょう。といういささか不快な思い、あるいは嫉妬心の発露とも意識させるあなたの言説なら仮説としてかなり説得力がありそうです。

       付言しますと、「実名事例セミナー」は何も今回が初めてではない。10年以上も続いてきました。因みに日東電工事例セミナーには日本国内全国紙の取材も来られ、数日中に報道されるようです。これも三面記事の「客寄せ」効果ですかね。

       最後に一言。小池さんとのやりとりは、心理学的な事例学習には適合していることから、今度私の研修会で実例として使わせていただきます。ただし実名がないので、とりあえず「小池ケース」として扱わせていただきます。匿名ケースでも集客ができますよ。題材提供のご協力に厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です。