<杭州>西湖国賓館食堂、食材・出汁・調理揃って中国最高レベル

 中国最高レベルの中華料理だ。杭州西湖国賓館のメインレストラン、3泊滞在中に、異例の「夕・昼・夕」3食連続館内食。ここ十数年食べてきた中華のなか、最高峰の料理である。

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 食材、出汁、調理の3点、いずれも申し分ない。

 まずは、ご飯。ほとんど日本米同様の甘みと粘りではないか。わざと半分を冷まして食べてみたが、冷めてもまったくぱさつかない。パサパサ感の米が主流である中国、どんな高級ホテルでもここまで品質の高い米を出すことはない。いやあり得ない。仕入れできないからだろう。

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 服務員を呼んで米の産地を聞いてみたが、「東北某地」としか答えてくれない。国賓館専用の「御料農場」ではないかと問い詰めようとしたが、やめた。これがもしや国家秘密でスパイ罪にでも問われたらしゃれにならない。

 慈姑(クワイ)は大きくてあのシャキシャキ感はなんというか、フルーツである。薄味の酒醸風味に仕立てられているのもまた素晴らしい。一見関連性のない食材と調味だが、親和性が驚くほど豊かである。

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 菱(ひし)の実。まさに旬の味。現代人には馴染みの薄い食材だけに珍味とさえいえるだろう。とげのある実が湖や沼の水底に固着して越冬し、春になると発芽して根をおろし、水面に向かって芽を伸ばす。食用とするのは実の部分だけである。意外にも濃厚で芳醇な味わいである。

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 酔っ払い蝦の楊梅酒漬け(楊梅=ヤマモモ)。江浙料理の代表作。これはまた酒が進む。

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 湯葉好きの私は湯葉料理を二品も注文する。厚めの押し湯葉の豚肉包み出汁煮込み。湯葉も素晴らしいが、中身の豚肉はミンチといっても、使用部位が厳選されていることが分かる。美味しい豚肉なので、あえて超粗挽きにされているところが素晴らしい。

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 炸響鈴(湯葉巻きの揚げ物)、言わずとも知れた杭州料理。だが、先日街の名店とされた店で食べたのとまったく別物である。あのカリッとサクサクの仕上げは油気を全然意識させない。なんと洗練された炸響鈴だろう。

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 杭州料理といえば、酔っ払い鶏や西湖醋魚。一品一品素材が厳選されていて、味がよい。

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 最後に麺類。これはやはり田ウナギの出汁ラーメンに限る。あの成分不明の出汁はもはやブイヤベース状態。すでに料理でたらふくになっていても、ペロリと平らげてしまうのが恐ろしい。

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 食材はすべて厳選されている。どの料理も外れがまったくない。そしてあまりの美味しさに酒がどんどん進む。ついに昼というのに白酒を口にしてしまった。

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 西湖国賓館のレストランはやはり、国賓接待を前提にしてマネジメントされているのだろう。誰もが中国の国宴に出る機会に恵まれるわけではない。そんな一般美食家も少しでもお裾分けに預かることができる、と考えれば実にありがたいことだ。

 最後にサービスについて少し触れておくが、ウェイトレスは美人揃い。対応が洗練されており、動きが機敏、歩き方もきちんと訓練されている。

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 ご馳走様でした。夕食後は、広大な庭園を独り占めして散歩し、西湖の夜景を楽しむのも宿泊客の特権である。