私がいま滞在中の杭州西湖国賓館、通称「劉荘」は、中華人民共和国初の憲法の誕生地である。これを知っている人はさぞかし少ないだろう。
1953年12月27日から1954年3月14日まで毛沢東が杭州・劉荘に滞在し、期間中に全国から法律をはじめとする専門家を呼び集めて、ここ劉荘で憲法草案を起こしたのである(中国共産党新聞・党史)。
毛沢東が劉荘を離れて9日後の1954年3月23日、中華人民共和国憲法起草委員会が北京で第1回会議を行い、毛沢東が中国共産党を代表して憲法草案初稿を提出し、さらに同年1954年9月20日、第1期全国人民代表大会の第1次会議において「中華人民共和国憲法」(全106条)が採択され、即日公布された。
これは有名ないわゆる「54年憲法」であり、建国後しばらく基礎となった「中国人民政治協商会議共同綱領」によって維持されてきた人民民主統一戦線体制を事実上終結させ、新たに中国共産党による一党独裁制を確立させた。
そういう意味で中国憲法には、「劉荘憲法」という別名をつけられてもおかしくないだろう。憲法作りには、劉荘が最高に適した平和な環境ではないか。