帝王学は正義追求ではない、マキアヴェッリ「君主論」に学ぶもの

 「自らの安全を、自らの力によって守る意思を持たない場合、いかなる国家といえども、独立と平和を期待することはできない」
 「天国に至る道は、地獄に至る道を熟知することである」
 「いかなる手段もその目的にとって有効ならば正当化される」
 「人間は必要に迫られなければ善を行わない」…

 いずれも、中世イタリアの思想家ニッコロ・マキアヴェッリ(「君主論」)の名言。国家であれ企業であれ、トップに立つ人間は「帝王学」を勉強せず、女々しく偽りの慈愛や温情を語っていられまい。

 シャープは経営再建を申し出た台湾・鴻海精密工業に対し、人員削減をしないように誓約書の提出を求めていたニュースをみて、私は仰天した。

 だからそういう会社は潰れる、といいたくなる。解雇されて再就職もできないような弱い従業員を育てた会社、経営者の責任は?ここまできても、まだ偽りの慈愛を世間に披露するのは見苦しい限りだ。

 帝王学とは、正義の追求ではない。より強い立場、より強い牽引力、より強い統率力を求められ、そして率いる集団そのものの存続と利益最大化に責任をもつ。 トップに立つ人間には、自身の価値観や、好む好まぬと言うような選択肢がある意味で与えられていない。

 憎まれる、罵られる、呪われる…、そして孤独を背負って生きてゆくのがトップだ。

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