問題解決の副産物、いやな問題に価値を見出すプロの姿

 海外には、いろんな日本人がいる。問題から逃げ、保身的でダメな日本人もいれば、問題に立ち向かい、献身的で立派な日本人もいる。

 出張最終日、土曜日の夜、シェラトン上海虹橋ホテル日本人マネージャー徳永さん(写真真ん中)と新しく来られた顧客担当田中さんと懇親会。日々、上海出張滞在中に本当に本当に良くやっていただいて、感謝の気持ちは言葉で表せない。

160227-2301-上海-暁-徳永さん・田中さん

 シェラトン虹橋は、当社上海事務所が入居する万都中心のまん前に位置し、通勤時間1分という好立地。このため、月例の上海出張の定宿として利用している。毎回平均6泊ほどの長い滞在でどうしてもあれこれ小さな問題やクレームが付き物だ。その都度、徳永さんは必ず一つ一つ丁寧に対応してくれている。

 私はどんな小さな管理上の問題でも、基本的にホテルのマネジメントに報告するようにしている。可能な限り、原因探求の部もつけて簡単なレポートをメールで送っている。一般のお客様が言わないだろうというような小さな問題を言っていると、クレーマーと思われるかもしれないが、「お詫び」としてのサービス等を基本的に辞退しながら、言い続けている。

 なかに中国で経営し、特にホテルというサービス業である以上、避けられない構造的な、人的管理の問題などもある。さらに徳永さんの担当業務や権限以外の問題も含まれている。担当業務外ということで、逃げる姿勢一つないのが徳永さん。黙々と引き受けて一つ一つ取り組んでいくその誠実さ、本当に感動で言葉が出ない。

 他部門の問題にも首を突っ込んで調べ、原因を特定して解決に全力を挙げる。もしかすると、社内で煙たい人物になっているのかもしれない。だが、ホテルが必要としているのは、組織内の八方美人ではなく、お客様が喜んでくれるサービスのプロフェッショナルなのである。

 日本人客だけでなく、中国人客のクレーム対応にも、徳永さんが呼び出される。言葉が完全に通じなくても、徳永さんが出れば何と中国人のお客様の怒りが収まるのである。本当に不思議。プロというのは、言葉要らずなのだろうか。表情や仕草、その一生懸命さ、誠心誠意、献身的姿勢が伝わるのである。

 ホテルに限らず、どんな企業にも問題がある。そこで、問題はその問題ではなく、問題を問題視し、本気で問題を解決しようとしているかどうかの姿勢なのである。

 問題が恐れているのは、問題に立ち向かって問題解決に取り組む人間だ。ただ、どんなに問題解決しても問題は次から次へと出てくる。そこで、問題解決から派生される副産物がじわじわと増加していく。それは人間の成長と進化である。だから、問題は価値・財産創出の最大な源泉である。

 私は徳永さんから多く学んだ。これからも学び続ける。