「やがて死ぬ けしきはみえず 蝉の声」
青山さんを見ていると、ふと芭蕉の名句を思い出す。1週間とない命を気にも留めず、まるでいつまでも生き続けられるように、力を出し切ってミンミンと鳴き続ける夏蝉。なぜか彼の姿と重なって見える。
<写真>2011年12月奄美大島にて
参院選で、自民党比例2位で当選した青山繁晴氏。万歳三唱もだるまもない。1期しかやらない。金にも名声にもとらわれない、ただただひたすら鳴き続ける夏蝉のように、彼は自分の命を縮める仕事をやろうとしている。
そんなことは、とてもできない。凡人はどちらかというと、「やがて死ぬ景色」すら見えずに、ただ目先の我が春を謳歌したり、あるいは不満を抗議したりし、そんな鳴き声を上げ続けるありさまである。
芭蕉の心中では、どのような蝉が描かれているかは定かではない。どのような蝉になろうとも、個々の人の心一つである。そして、我々人間一人ひとりの命は宇宙のなかでは、夏蝉とそう変わらない短く、いや一瞬たるものだ。
青山さんの姿を見ていると、知らずに涙が流れた。感傷ではない。真理を見たときの恐怖と驚喜である。
立花さん,芭蕉の感傷に浸る時ではないはず。万難を排す時正に至れり。
青山さんは聖人です。