やがて死ぬ景色、見えずに鳴き続ける夏蝉いろいろ

 「やがて死ぬ けしきはみえず 蝉の声」

 青山さんを見ていると、ふと芭蕉の名句を思い出す。1週間とない命を気にも留めず、まるでいつまでも生き続けられるように、力を出し切ってミンミンと鳴き続ける夏蝉。なぜか彼の姿と重なって見える。

111205-1018-奄美-金作原原生林_01<写真>2011年12月奄美大島にて

 参院選で、自民党比例2位で当選した青山繁晴氏。万歳三唱もだるまもない。1期しかやらない。金にも名声にもとらわれない、ただただひたすら鳴き続ける夏蝉のように、彼は自分の命を縮める仕事をやろうとしている。

 そんなことは、とてもできない。凡人はどちらかというと、「やがて死ぬ景色」すら見えずに、ただ目先の我が春を謳歌したり、あるいは不満を抗議したりし、そんな鳴き声を上げ続けるありさまである。

 芭蕉の心中では、どのような蝉が描かれているかは定かではない。どのような蝉になろうとも、個々の人の心一つである。そして、我々人間一人ひとりの命は宇宙のなかでは、夏蝉とそう変わらない短く、いや一瞬たるものだ。

 青山さんの姿を見ていると、知らずに涙が流れた。感傷ではない。真理を見たときの恐怖と驚喜である。

コメント: やがて死ぬ景色、見えずに鳴き続ける夏蝉いろいろ

  1. 立花さん,芭蕉の感傷に浸る時ではないはず。万難を排す時正に至れり。

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