【時事解読】カンボジア楽観視できない理由とは?

 私は繰り返しているように、アセアン諸国のなかで、カンボジアに対し、一貫して楽観的ではない。プラス要素が非常に少ないからだ。カンボジアの対中依存度が高すぎる。米中貿易戦争からどんな影響を受けるか、好影響と悪影響の両面から見てみたい。

 まず、直接的な好影響は産業移転。中国からの産業シフトによる受益。ただ、致命傷はサプライチェーンの未整備、産業集積の形成が立ち遅れていることだ。せいぜい縫製業あたりのローテク移転しか見込めないだろう。それでも、1つベトナムに負けている。それはTPP。ベトナムはTPP参加国で輸出の優位性を有している。結局、カンボジアには大した好影響はないわけだ。

 次に、悪影響。カンボジアは中国の子分。貿易戦争で中国がアメリカに負けると、大問題になる。要するに金持ちだった中国は金欠になることだ。すると子分には構っていられなくなる。そこで連鎖的影響が及び、カンボジアは大打撃を受ける。もともと独裁政権だっただけに、無謀なことをやりだしたりするかもしれない。そういうリスクもなくはない。

 この通り、基本的に国際的舞台に上りつつあるのはベトナムであって、カンボジアではない。カンボジアにはプラス要素が少なすぎる。一方では、なぜか日本人でカンボジアファンが多いこと。投資やらビジネスやら盛んになっている。私が冷水をかけると、あまり良い気分ではないはずだ。一言でいうと、出口戦略というが、入口よりもまず出口を確保するのが投資やビジネスの基本である。

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