旨い焼鳥店の情報と、焼鳥なぜ旨いかの本

 4月17日(水)昼過ぎ、全日空NH972便で上海・浦東から羽田に到着。夜は出版社役員・関係者と出版の打ち合わせを兼ねて会食。場所は白金の焼鳥店「酉玉」。この店はクアラルンプールにも出店しているので、馴染みがある。

 お客様も「美味しい」と絶賛。美味しい焼鳥を食べながら、出版業界の話題で盛り上がる。ここのところ、日本国内の「本離れ」現象が顕著だが、読者が電子書籍に流れたかというと、そうではないようだ。紙書籍と電子書籍の総和そのものが減少しているという。まさに総量減の「書籍離れ」現象である。

「書籍離れ」の原因とは何か。このテーマを取り上げたら、膨大なデータや調査作業が必要だ。ふと思いつくところは、ネット情報という利便性が影響しているのではないかと。ちょっとググれば、大体のスポット情報(「Know-What」「Know-How」)が手に入るから、早くて便利。それ以上深く追求する意欲が萎えてしまう。

 書籍というのは、著者の思考回路の発露であり、ロジカルなアプローチの文字化である。「Know-Why」という根源探究の旅である。この知的な旅をないがしろにし、ただいわゆる観光スポットで記念写真をぱちぱち撮っておしまい。いかにもったいないことだろう。

 それにしても、実に旨い焼鳥だ。いまの日本は、旨い焼鳥の店を指南する情報が溢れている。しかし、焼鳥はなぜ旨いか。となると、やはり本1冊書けるほどの学問になる。では「旨い焼鳥店情報」と「焼鳥の旨い本質」という本、どっちの需要が高いかというと、おそらく前者。すると、本は売れないわけだ。

 焼鳥がなぜ旨いかを知ってなんぼの世界だ。世がどんどん浅薄なものになっていく。

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