2月23日(木)午前、上海でセミナー「中国・外国人就労許可新制度と実務運用説明会」。予想外の定員超過開催。
日系企業の関心がもっとも高いのはやはり、外国人就労者のABCランク付け。何も特別に驚くべきことではない。国としてその国益を第一に考え、貢献してくれる外国人をその貢献度の大小で仕分けする。むしろ極めて当然のことであろう。
高賃金、高学歴、高技能という「三高」を尺度として選別する。シンガポールもその好例である。外国人労働者をランク付けして、高度人材の就労や在留ないし移住を奨励し、そうではない低技能者を排除するという政策を取り、労働集約型産業から知識集約型産業への転換を実現した。
政治体制面および経済成長面において、エリート開発独裁の道を歩んできたシンガポール。中国はある意味でこれをモデルとしているのではないだろうか。換言すれば、中国は高度人材の輸入(移民)に政策重点を置き始め、今回の新制度は「移民政策」の確立と読み替えてもよいだろう。
周辺政策を含めて全体的に俯瞰すると分かりやすい――。
中国人力資源社会保障部と外交部、教育部は年頭早々共同で通達「優秀な外国人新卒者の中国における就労に関する事項についての通達」(人社部発[2017]3号)を発出した。勤務経験のない優秀な外国人新卒者にも中国の就労許可を与える。これは、従来の2年の海外勤務経験を要件としていたものをむしろ条件緩和しているのである。
A類という一握りの高度人材に優遇条件を提示する一方、中国にとって魅力の薄い非高度外国人就労者をC類とし、割当枠管理を実施する。
大多数の外資企業駐在員である外国人が所属するB類に関しても、高卒学歴者や高齢者(60歳以上)などが原則除外され、賃金要件等を併設することによって、一部の現地採用外国人はたとえ現在就労中であっても、資格更新が難しくなる。そういうケースも出てくる。
4月の新制度実施に伴い、状況が鮮明化するだろう。現状を見る限り、大変厳しい。