心の自由、独立起業14周年に思うこと

 今日6月30日、私にとって人生のなかでは大きな一日である。2000年6月30日、14年前の今日、私はロイター通信社を辞め、サラリーマン人生に終止符を打った。

 早いもので、独立起業して14年も経った。一応食いつなぐことができて、いわゆる成功者の部類に分類されたようで、成功体験談を求められたりすることもあるが、何もコツはない。ただ逃げ道をすべて断った人間の生きる力だけが頼りだと一様に答えている。

 自分の人生は自分で決める。脱サラして失敗したら死活問題だ。他人の助言でやったから、こんなことで他人に責任を取らせることができない。悔いが残るだけ。

 独立や起業に憧れる人がたくさんいるようだが、何も成功した人が偉いとか、そういうことは一切ないと思う。経営者としていろんな自由を手に入れる代わりに、リスクを取らなければならないし、失うものも多い。人生は複式簿記そのものだ。借方・貸方の科目はそれぞれだが、必ず最終的に均衡が成り立つ。

 経営者は保障を売って、自由を買う。ただ一つだけ、心の自由、これは必ずしも手に入れられるとは限らない。人間の最大な幸福は、この心の自由にあるのだと、私は思う。

 心の自由を手に入れた時、世界はがらりと変わる。心の自由を如何に手に入れるか、哲学だと思う。現代人の多くがビジネス書を読破しても、哲学に目を向けようとしない。

 ビジネスは変化の学問であって、哲学は不変を求める学問である。不変で変化に対応するのがはるかに効率が良いからである。万物事象の裏に隠れる不変なメカニズムは必ず存在する。本質を抑えた時点で、アプローチはついてくるものだ。

 心の自由を求め、私自身もこれから日々精進していくつもりである。