裏切り、保守陣営腐敗のメカニズム

 左派社会主義者は、利益のみで結ばれているから、利益追求という意味で一致団結(結託・癒着)している。しかし、右派保守層は、理念信条グループと利益追求グループが分かれているので、気がつけば、利益追求グループが裏切り者にもなったりする。

 16世紀後半に生まれたプロテスタントの一派ピューリタン(清教徒)の思想といえば、禁欲、利益追求の禁止。一見資本主義そのものと根本的な対立をなす思想だが、なぜ近代資本主義の精神と関係付けられたのだろうか。マックス・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』では、明確に指摘されている。

 要するに、労働は禁欲の手段である。人間はブラブラしていると、欲望に駆られてろくなことをしない。だから、労働しろと。労働していれば、そういう悪いことを考えなくなり、しなくなる。労働をもって禁欲する。つまり行動的禁欲である。

 18世紀ドイツの宗教指導者ツィンツェンドルフがいう。「人は生きるために労働するだけでなく、労働するために生きているのだ」。まさにその通りだ。勤労は体力の自然的目的であるとともに、倫理的目的でもある。神にもっとも奉仕しその栄誉となるものは労働という行為である。

 宗教を基盤とする「資本主義の精神」は、富の増加とともに徐々にフェードアウトする。職業労働よりも、現実の世界ではキリスト教を含めて利益追求が目的化されてきた。その変質を引き起こしたものは何であろう。それは人間の欲にほかならない。要するにそもそも欲があっての禁欲だった。それが宗教という倫理的規制が機能する世界ならまだしも、それが弛緩した現今の自由主義の世界ではもはや、制御する術がない。

 平たく言えば、「楽して稼ぐ」という風潮は、資本主義の変質の表れにほかならない。保守派のなかにも、資本主義の原点を見失い、名ばかりの保守になった者が増殖しているが故に、今日の共和党の分断があったわけだ。日本の自民党もまた然り。寄らば大樹の陰、糧や富を求めて集まっても、大樹の根っこを理解することができない。それどころか、大樹を蝕む害虫になりかねない。

 トランプ大統領はこの本質を見抜いている。だから、彼は再選すれば、共和党の解体・再建に乗り出し、プロテスタンティズムに基づく資本主義の原点回帰を目指すだろう。

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