芙蓉焼蟹、地元生まれではない蟹料理がなぜ旨いか

 スレンバンの名物料理、芙蓉焼蟹。名前に惹かれる。1月11日(月)、森のリゾートに行く前にちょうど昼の時間だから、立ち寄ることにした。芙蓉焼蟹の「芙蓉」とは、ヌグリ・スンビラン州の州都スレンバンの中国語名、ずいぶん美しい名前ではないか。蟹も立派、色鮮やかでインパクトがある。

 見た目よりも、マイルドな醤油味。実は、この蟹料理は元々イポー出身。1983年、江氏4兄弟が秘伝のレシピをもって、スレンバンに移住。この街に来てみると、なんと蟹料理に人気が薄く、専門店がないことを知った。チャンスとみて4兄弟が早速、蟹専門店をオープン。当たりだった。そこから、「芙蓉焼蟹」というブランドが生まれ、やがてその独自の味で人気が出、常連がつき、店が大繁盛。

 支店を作らないこと。これは私の好み。店主のいない店、美食家にとって話にならない。本当なら、4人兄弟もいるわけだから、4店舗は作れるはずだが、それでもエネルギーを1店舗に注ぎ込む姿勢が素晴らしい。特に今のようなコロナ時期に、手を広げた経営者ほど固定費がかかり、被害が大きい。

 蟹料理以外に、試しにいちばんシンプルな牡蠣卵炒めを頼んでみる。しっかりした味だ。ふわふわした卵とプリプリした牡蠣(小粒ではあるが)、酒がほしくなる。運転で飲めないのが残念。コロナ期間中とはいえ、客がどんどん入る。路上駐車もあっという間にいっぱい。

 ご馳走様でした。