落ち葉の庭掃除とホテルのベルボールとジム

 朝から庭掃除。数日も経つと、だいぶ落ち葉がたまる。大掛かりな剪定を控えているだけに、落ち葉が多いのもしかたない。それにしても急に庭掃除をやり出す私のことを、妻が不思議そうな目線でみる。

 ある本を読んでいると、こんなことが書いてあった。「大きなスーツケースをホテルのベルボーイに運ばせてチェックインする男がその直後に、ホテルのジムでウエイトトレーニングをしていた」。要するに言いたいのは、だったら自分でスーツケースを運べばよかったということだ。

 考えてみると確かにそうだ。歴史的にスポーツは貴族の特権だったりイベントだったりし、大方の一般庶民は日常の暮らしで労務につき、それがストレスでありながらも、一種の日常的トレーニングにもなっていた。

 社会がどんどん便利になり、第三次産業の発展によって、多くの人間がそうした日常の労務から解放され、経済活動に専念するようになった。その反動として、体が怠けてわざわざ金をかけて運動やダイエットに取り組まなければならなくなった。そして、スポーツやダイエットそれ自体が産業化した。

 ホテルにチェックインする男の話に戻るが、理論上客が自分でスーツケースを運んだ場合、まずはホテルのベルボーイが必要なくなり、さらに館内のジムも必要なくなる(客室内でスーツケースでウェイトトレーニングができるからだ)。つまり、5つ星ホテルの存在価値も否定される。

 ホテルの基本的効用価値は、宿泊。そのうえに様々な施設やサービス(付加価値)を積み上げることによってグレードが上がる、宿泊料金も上がるわけだ。たとえば、高級ホテルで1泊2万円の宿泊料なら、2000円分ほどのボーイの荷物運び代やジムの利用代金が含まれていると考えていいだろう。

 そうした付加価値が不要とされた場合、当該産業の委縮と雇用の喪失を意味する。故に、現代社会ではいくら不必要非緊急(不要不急の類)な付加価値であっても、深遠な社会的意義を有している。時間の価値や代替性という諸方面を考えると、ベルボーイとジムは非常に特殊な事例といえる。

 私がこれからエアロバイクを漕いでいる時間を、庭掃除とガーデニングに充てた場合、スポーツ器具メーカーも庭師も売上と利益をロスすることになる。そうしていいかどうか、今は思案中。

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