北海道(11)~ラーメン屋のある特別サービス、その裏とは?

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 首都圏の某駅前のラーメン屋で、「終日ライス食べ放題」サービスを発見。しかも、日本語に英語と中国語併記。私はラーメンを1杯注文し、本来なら餃子もつけようと思ったが、無料のご飯とふりかけがあり、しかも食べ放題というのだから、餃子をやめてご飯を盛って食べることにした。

 日本のご飯はもともと美味しい。さらにこのピリ辛のふりかけは、また食欲増進で旨すぎる。思わずご飯のお替りまでしてしまった。もちろん満腹状態。

 カウンター席に座っているカップルはもっと凄い。2人で仲良く1杯のラーメンをシェアしながらも、それぞれご飯を1人ずつお替りし、勢いよく頬張っているのではないか。ラーメンのチャーシューをおかず代わりにご飯の上に乗せ、ラーメンをスープ代わりに、食べ、飲んでいる。素晴らしいアイデアだ。

 計算してみよう――。ラーメンは1杯1000円、餃子1皿400円、ご飯1杯150円(まともに売った場合)としよう。

 私は本来ならラーメン+餃子で売り上げが1400円になるはずだが、餃子と無料ライス(お替り含む)の売上げ損失は、700円になる。カウンターのカップルは、元々2人分のラーメンで2000円の売上げになっていたはずだが、今はラーメン1杯分とご飯4杯分の損失は合計、1600円になる。

 完全に不当な価格戦になっている。そうでもしないと、集客ができない。しかし、店の固定費は減らない。辛うじて利益を確保するために、経営者は従業員の給料に手を付けざるを得ない。それがブラック企業の由来だ。日本人は一人ひとり安い物価を求めながら、結局ブラック企業の搾取に加担し、ひいては給料が上がらないと自分も被害者になっているわけだ。

 しばらくすると、このラーメン屋に台湾人観光客の家族が入店。一族は同じくラーメンの傍らにライスの食べ放題を満喫。「日本のお米はやはり美味しい、たくさんご飯を食べよう」と。

 日本人は日本の物価を押し下げ、自分の給料も押し下げたところで、結局、痛みを分かち合うどころか、日本人搾取の成果を満喫するのはいわゆるインバウンドの外国人にほかならない。

 日本人よ、この構図の本質を見抜いているのだろうか?

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