北海道(10)~ワインが魚介類和食に合わない理由

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 私はワインを勉強すると言ったが、前言撤回する。北海道の旅でそう決めた。日本食、特に魚介類には日本酒しか合わない。洋食愛好家でない私には、ワインを学ぶモチベーションがない。ワインセラーの購入も断念する。

 日本酒に痺れることがあってもワインにはそういうことがない。知り合いにワイン愛好家が多くいる。彼・彼女にはそれぞれの嗜好や論理があるから、一元的な結論づけはしたくない。ただ自分の体はきっとワインに無縁な成分でできているに違いない。因みに世の中にもしワインしかアルコールがなかったら、私はおそらく簡単に断酒できるだろう。

 フェイスブックに多数の友人からコメントが寄せられた。その一部を紹介しよう――。

 ● 白ワインやシャンパーニュは海鮮類に合うとよく言いますが、私のソムリエとしての経験上、80%は合いません。臭みが出ます。ペアリングはソースあってこそです。しかし、素材を活かした貝類はソースがあっても難しいですね。そういった食材は、シンプルに日本酒といただくのが最高です。

 ● ソムリエなる人々が、和食にもワインが合いますよと、喧伝していますが、彼らは商売人。立花さんの味覚を僕は信じます。(注:上の方のような、本音を言うソムリエもいる)

 ● 生の魚介類とワインは、誰がどう言おうと合わないと思います。

 ● ワインは魚介類の生臭さを際立たせるように感じます。アルコールの成分によるのでしょうか。一方で日本酒は、和らげて調和させる感じ。生牡蠣に白ワインなんて、嘘っぱちだと確信しています。フランス人もエスカルゴにワインは合わないことは知ってて、エスカルゴにはウオッカを飲む、と聞いたことがあります。生牡蠣にワインよりはウオッカのほうがまだマシと思うけど、エスカルゴにも日本酒がベストと思います。

 ● 昔極上の礼文のウニを白ワインと合わせたら絶望的にまずい。口を洗って、純米吟醸(このときは秋田県仁賀保の飛良泉)に変えたら至福。

 ● 稚鮎の天ぷら。丸ごと食べられて超美味。生でないので、白ワインでもそれなりだが、やはり自分は純米吟醸で合わせたい。

 ● ワインは欧米のセレブ(投資家など)との付き合いのためと割り切ってます。20歳で『上善如水』を美味しい水と勧められ、吉祥寺の豆腐の美味いところで日本酒に痺れた。黒龍、獺祭など制覇してひっくり返っていたところ、とある上級米国人に会うのにワインを知らないとこの世界では生きていけないと言われました。そこで飲めなかった赤ワインを学ぶために、ドイツの白ワインから入り込んで、ワインのうんちくをそこそこ話せるようになりました。そうして3年のワインの修行があって、ワインの楽しみを覚えました。日本人の身体はウイスキーやワインより日本酒の方が相性が良いとは思います。欧米人と日本人では腸の細菌の種類が異なるからなのだそうです。DNAの遺伝もあるのでしょう。1か月ほど入院したことがあり、病院の栄養士に、日本人には日本食が合うよと、欧米人が日本で入院したら、CDCから情報取り寄せて食事を出すと言ってました。身体のつくりは簡単に変えられないのでしょう。

 結論としては、以下にまとめたい――。

 1. ワインは、生の魚介類(素材)の生臭さを際立たせる(一方で日本酒はそれを和らげて調和させる)。
 2. ワインのペアリングは、ソースに依存する(ただし、素材を活かした貝類はソースがあってもNG)。
 3. 日本人と欧米人の体質・構造が異なる。
 4. ワインは社交ツールで、ステータスシンボルでもあるため、食を超えて社会的効用を有する。

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