「マレーシア移住クラブ」とは何?単なる富裕層クラブではない


「マレーシア移住クラブ」は、個別ビジネス相談への移行に伴い2022年2月23日に解散されました


 このたび、2021年10月9日に、新たに「マレーシア移住クラブ」(以下、「移住クラブ」という)を立ち上げました。すでに、9年前に私が発起人で立ち上げた「マレーシア移住の会」(オンラインとオフライン合わせて会員数約3500名。以下、「移住の会」という)があったのに、なぜ「移住クラブ」を別途立ち上げたか、その背景と理由、そして「移住クラブ」とはどんな組織かを述べたいと思います。

 まず、理由として挙げられるのは、2021年8月に発表されたマレーシア・マイ・セカンドホーム(MM2H)改定資格条件(以下、「新条件」という)です。これまでの条件と比べて、MM2H申請者に求められる資産収入要件(新条件)が概ね4~5倍に引き上げられたこともあって、もはや状況を一変させました。つまり、申請可能な対象者層が抜本的に変わったことです。

 この激変は内外に大きな衝撃を与えました。マレーシア当局は「質の高い(ハイクオリティー)移住者を求める」と明言しました。言い換えれば、これまでの参加者に、質の低い人が多数含まれているということになります。一連の動きから、マレーシア政府は「金持ちを求めて、信義を裏切る」などと倫理的な批判まで浴びました。この辺の背景分析は、本文末尾掲載【参考記事一覧】①~⑤を参照してください。ここでの詳述を省略します。

 しかしながら、「移住の会」では、この激変を想定していませんでした。現にこの変化を反映せずに、ただ会の運営を継続するだけでは、移住(既存・新規)を継続するグループと移住を諦めるグループのどちらにとっても、役に立つ情報を提供できなくなります。さらに、いわゆる「富裕層」(実態はともかく)とそうでない層といった日本人社会特有の分断意識も生まれるでしょう。ならば、最初から棲み分けしましょうと、私は決断しました。

 ここまでは、「移住クラブ」の設立背景・理由でした。では、「移住クラブ」とは、どういう組織かを述べます。

 入会対象者には、まず入会条件の質問が設けられています。概していうと、新条件に従って移住・継続移住する能力と意思があること、あるいは現時点条件不備があってもいずれ可能になること、あるいは前記に関わらず特別招待・承認されたこと、という3つの条件のいずれか1つをクリアしないと、入会を承認しません。

 「移住クラブ」では、入会条件審査を行い、メンバー数上限を厳格に制限します。第1陣は、50名とします(2021年10月11日現在メンバー約30名)。理由は、量よりも質。散漫とした数千人規模の会よりも、少人数のネットワーク連帯でしっかりと実効性ある運営ができるからです。故に、入会者の一人ひとりには、私宛に個別メッセンジャーで自己紹介を求めています。

 情報については、未公開情報、公開に適していない情報から、一部有料情報(私が経営するコンサル会社のデータベースから)まで提供します。その代わりに、メンバー側にも積極的な参加、情報提供を求め、ビジネスにおける協力関係の形成を目指していきます。つまり、オフライン(実務)への展開が目的になっています。

 すでにご案内したとおり、私自身は、大手・超大手企業のコンサルを20年近くやり、成功事例も数多く出してきました。一方、中小や零細企業に大企業レベルのコンサル料をいただくことは現実的に不可能ですから、あえてこの際、発想を切り替え、費用を取らない代わりに、有望なビジネスなら事業パートナーとして加わることにします(もちろん失敗したら、収入ゼロになりますが)。

 私のこのような、勝手な希望や要求を受け入れられない方(企業)や、疑念をもたれる方の入会は、勧めません。退会してください。

 私が担当しているクライアント日本企業30社(私のではなく、クライアント企業)の合計連結売り上げは、スウェーデン1国分のGDPに相当します。ならば、中小企業100社の力を合わせると、大企業1社分の価値に相当する、いや、「大企業病」にかからない分、効率がよければ、大企業1社分を超えるかもしれないと、私は期待しています。

 「移住の会」と違って、「移住クラブ」は実は「住む」だけでなく、「働く」「稼ぐ」における互助機能も含まれており、むしろ後者のほうがより大きな比重を占めます。差別はいたしません。たとえ定年後の方でも、悠々自適な年金生活よりも(これからの時代は、「定年」という概念が消えるかもしれない)、現役で事業を営むとか、様々なシーンがあっていいと思います。なので、資産収入に関係なく、志があって、実行中または実行に移そうとしている方々も、私までメッセンジャーやメールなどで連絡をください。検討したうえで、入会の特別承認をします。

 このとおり、「移住クラブ」は、決して単なる「富裕層クラブ」ではありません。そもそも富裕層の定義とは何か。資産5000万円以上が準富裕層で、1億円以上なら富裕層という定義(野村総研)は、高度経済成長時代の尺度でした。これからの世界は、大きく変わります。この尺度はやがて崩壊します。

<現在の分類>(野村総研)
 ● 超富裕層~純金融資産保有額5億円以上
 ● 富裕層~1億円以上5億円未満
 ● 準富裕層~5000万円以上1億円未満
 ● アッパーマス層~3000万円以上5000万円未満
 ● マス層~3000万円未満

 中流階級が溶解します(参照:本文末尾【参考記事一覧】⑥~⑨)。数年以内に、日本は以下のようになるでしょう。

<近い将来の分類>(私の予想)
 ● 超富裕層~純金融資産保有額5億円以上
 ● 富裕層~1億円以上5億円未満
 ● 準富裕層~5000万円以上1億円未満
 ● アッパーマス層の空洞化(溶解層)
 ● マス層~1000万円未満

 マレーシアが求めていた移住者は、これまではマス層でしたが、それが溶解するので、これからは準富裕層と富裕層にシフトせざるを得ません。そのための戦略転換が、今回のMM2H新条件によって行われようとしています。要するに将来的に、移住不可能なマス層と移住可能な富裕層という真っ二つに分かれます。

 そうした意味で、「移住の会」もいずれ「移住クラブ」に吸収されるでしょう。私はズケズケ直言するほうで、気分を悪くされた方がおられたら、容赦なく退会していただいてもまったく問題ありません。記事や本を書いたりすると、その際、このような尖った表現があれば、編集者がたびたび気を使って丁寧に直したり、角を削り落としたりして丸めてくれますが、私はしません。私は一介の経営者・民間人ですから、同調ムードには同調しません。

 言霊ではない。すでに現実になりつつあります。岸田政権の「成長と分配」やら「新資本主義」やら、いずれも実現不可能です。日本は貧富の二極化は避けられません。行き着くところ、富裕層から富を取り上げ、分配に回すだけですから、「新資本主義」でなく、日本は「新社会主義」に向かいます。

 頑張って稼いだ富を社会主義に取られたくない日本人は、当然、海外へ移住します。日本は、富裕層の住める土地ではなくなります。日本の崩壊に備えて、「移住クラブ」が1つの小さな方舟になってほしい(参照:本文末尾【参考記事一覧】⑩)。

 最後に補足しておこう。世界規模的に、中間層が溶解し、「二八法則」が機能し、「貧:富=8:2」の構造が出来上がりつつある。日本も例外ではない。この流れはもはや止めることができないと、私がみている。

 移住者に関して、マレーシアはこれまでターゲットにしてきた中間層が消えるため、上方修正して2割富裕層のボトム(準富裕層以上)に照準を合わせた。今回のマレーシア移住政策の抜本的転換は、専門コンサル会社の調査と戦略提案を根拠にしているようだが、将来を見据えた中長期戦略の構築としては、正しい意思決定だ。

 倫理的善悪はない。政治家が現実主義に立脚するのは、当然だ。冷酷であっても。

【参考記事一覧】
 『マレーシア移住は狭き門に、富裕層限定の新制度発表』
 ②『MM2HとMM1Hの複線化、マレーシア移住制度へ提案』
 ③『「マレーシア移住」という夢は、夢になる』
 ④『富裕層にターゲット絞る、タイとマレーシアは足並みそろえての定住政策』
 ⑤『なぜマレーシア移住政策が消滅したのか?6大原因徹底分析』
 ⑥『日本は貧困率の上昇とともに中流階級は溶解する』
 ⑦『欲求と商品・サービス、日本社会の消費は大変貌する』
 ⑧『資産溶解、貧困国家ニッポンの将来像』
 ⑨『コロナ後はインフレかデフレか、日本社会はこう変わる』
 ⑩『執筆出版企画破棄~「日本国崩壊 方舟よいずこ」』

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