マレーシア移住は狭き門に、富裕層限定の新制度発表

 日本人に大人気のマレーシア移住は今後、簡単にできなくなる。

 突然の発表。昨年8月からコロナの影響で一時中止になっていた「マレーシア・マイ・セカンドホーム(MM2H)」の申請受付が再開されたのはいいが(参照記事:『マレーシア長期滞在ビザMM2H申請の大量拒否、対策とは?』)、なんと申請条件は一気に引き上げられた。以下一部を紹介する。

 ● 年間最低90日間、マレーシアに滞在すること。
 ● 海外(日本など)での収入は、最低月4万リンギット(約100万円)。
 ● マレーシアでの定期預金は100万リンギット(約2700万円)以上。その半額は不動産購入や医療・健康、子女の教育に使用可。
 ● 最低でも150万リンギット(4000万円)の流動資産を所有すること。
 ● 総量規制、MM2H保有者の最大人数(上限)はマレーシア人口の1%、即ち30万人とする。……その他。

 新規申請者だけでなく、同ビザ保有者の資格更新にも適用するという(ただし、1年間の猶予期間を付与)。

 日本人の場合、金融資産5000万円以上、月収100万円が条件であるから、準富裕層(純金融資産保有額5000万円以上、1億円未満)である341.8万世帯、つまり日本人総世帯の6.32%しか該当しない。しかも、全財産をマレーシアにつぎ込むことが難しいだろうし、月収100万円の関門もあり、一般の年金所得者は困難になり、事実上1億円以上の資産と1200万円以上の年俸が条件になる。

 昨年予想したとおり、マレーシアはシンガポールの真似をして、本格的に外国人富裕層の取り込み戦略に舵を切ったとみていい。新制度のこれからの実施・展開には、3つのシナリオを想定できる。

 1、そのまま実施。
 2、一旦実施するものの、効果が悪いため、後日に再改正、一部緩和。
 3、政権交代等政治的な変動で、実施凍結、早急に再改正、一部緩和。

 移住者にとって、シナリオ3が望ましいが、可能性としてはもっとも低い。交代した場合の新政権にとって、MM2H政策の緊急度優先順位(コロナ最優先)が低く、トップ層や上位政治家たちの利益に直結しないからだ。シナリオ2の「後日」とは、コロナの終息など平時回復と新制度の実施検証で数年はかかると思われる。

 故に、楽観すべきではない。最悪に備えた準備が必要だろう。数年後には、日本人移住先トップ10の下位か圏外に、マレーシアが転落する可能性がある。

 個人的に、MM2Hの厳格化に異議ないが、ただ実態を考えると、マレーシア級の国には条件は過酷でかつ過剰すぎる。このレベルの条件なら、例えば3期15年のMM2H連続更新に成功した者には、永住権か市民権を付与するといった出口インセンティブ・スキームを用意できれば、それがよりマレーシアの国益に合致する。つまり、セカンドホームからファーストホームへの誘導。(参照:『MM2HとMM1Hの複線化、マレーシア移住制度へ提案』続編『「マレーシア移住」という夢は、夢になる』

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