日本では、コロナを「5類感染症」に引き下げる検討が進んでいる。急にこの話で盛り上がっている。病床逼迫に追われての措置にすぎない。ただ、別の大きなリスクを抱えている――。
5類に下げるのはいいが、コロナを季節性インフルエンザ扱いにしたところ、後続の変異で悪性化・劇症化した場合、上級に再度上げる(戻す)のは容易でないし、大混乱を引き起こす。
感染症の動態的変化を想定せずに、現状を固定化した定義づけほど危ないことはない。余地を残すためにも、スタンバイ状態というニュートラル(中間モード)が必要だ。日本の制度枠組みそれ自体の硬直化が大問題であって、思考硬直化がもっと深刻な大問題だ。
それに比べて、コロナはかなり賢い。擬人化したコロナ目線はこんな感じではないかと――。
インフルエンザに化けよう。人間どもにインフルエンザ扱いしてもらうが、タダのインフルエンザじゃない。何よりも季節性がなく、年中無休でやる。じわじわと量の拡張で質の進化を図る。長期戦に持ち込む。人類との共存合意を取り付けさえすれば、種の進化が実現できる。
短中期政策は、ポストデルタ世代への進化。