観光立国の迷走、基幹産業喪失のニッポンはどこへ行く?

 日本を支えてきた基幹産業は、電機・電子や自動車であった。これらの産業はいずれも衰退し、あるいは産業再定義の段階まできている。そこでインバウンドを持ち上げ、いわゆる観光立国戦略を打ち出した。

 インバウンドとは外的要因に強く依存する産業である。特に中国などの特定国家に依存し、偏在・偏重度を高めた時点で、リスクも正比例して向上している。この部分を見て見ぬふりしてきたのは日本である。さらに、自主性なき産業政策から生まれた政治的依存度の向上は、日本国家としての自主性の欠落ないし毀損をもたらしてきた。

 経済と政治とは不可分の関係にあるという本質を見失った日本は、ずっと迷走状態にあった。中国に都合よく利用されてきた。政治体制やイデオロギーの根本的な相違を無視したツケがいよいよ回ってきた。

 今回の新型コロナウイルス危機によって、インバウンドという外来依存型産業の脆弱性が証明された以上、日本国家は基幹産業喪失の現状を再認識する機会として捉えたい。これまではサプライチェーンの中国一極集中という巨大リスクを抱えてきた日本は、中国経済の低迷と市場の衰退、米中貿易戦争の進行といった出来事を睨みながらも、いまだにデカップリング(切り離し)に踏み切れずにいた。

 新型コロナウイルスの一件も然り。中国への忖度もあろうが、早期の全面遮断決定を怠ってきた。それが最終的に日本国内における拡散蔓延を招致すれば、国家経済全体への打撃は深甚なものになろう。

 今後の話に戻ろう。これからの日本はどうするのか。2本の道でつながる出口は1つ。1本の道は、ITのキャッチアップと高生産性の実現。もう1本の道は、製造業の国内回帰。その背景には終身雇用制度の崩壊と脱中国するサプライチェーンの再構築がある。

 日本人はAIやIoTに真剣に取り組み、高い生産性を実現しながら、労働力の再配置を進める。つまるところ、ホワイトカラーとブルーカラーの分業が再び顕在化することだ。大学を減らし、高専や職業養成機関を増やし、「Made in Japan」「Made by Japan」の隆盛によって付加価値と利益を日本国内に留保する。

 ほかに出口があるのだろうか。

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