急場凌ぎのコロナ救済、看過できない落とし穴とは?

 「エッセンシャル(essential )」。マレーシア生活者にとって、コロナ期間中にもっとも頻繁に触れる用語の1つである。ロックダウン期間中や一部解除時に、機能維持や再開にあたって優先度のもっとも高い産業群・ビジネス部類である。

 つまり、緊急度・必要度の高い、国民生活に不可欠な産業やビジネスを指している。日本語でいえば、「不要不急」の反対で「必要緊急」部類がこれにあたる。とりわけコロナ対処の中核をなす医療産業やその他日常的なライフライン事業が挙げられる(密の形成につながる交通業等を除外)。

 いま、日本で大問題になり騒がれている「GoToトラベル」キャンペーン、観光業への政府支援はやはり、緊急度や優先順位がそこまで上がらない。マレーシアの場合、政府はせいぜい融資基準の緩和くらいしか対策を打ち出していない。特定の産業への支援は公平さの欠落にもつながりかねないからだ。

 現代社会、殊に先進国では、第三次産業の比重が増えれば増えるほど、エッセンシャル産業・ビジネスが減少する。私が携わっている経営コンサルティング業務も、全般的にいえば「非エッセンシャル産業」に属するから、コロナで大きな損害を受けることは止むを得ないし、宿命ともいえる。

 それが善悪とか正誤とかの問題ではない。時代の変化に適応できるかどうかという当事者の自覚や対応の品質が問われている。それだけの話だ。

 日本は国として積極的に救済に乗り出している。世界的にみても、親切度が高いといえる。その救済をもっとも効率のよいものにするために、どうすればいいのか。一時的な急場凌ぎも必要であろうが、やはり国家としては長期戦略に目を向けるべきだ。それはつまりポストコロナ時代への布石にほかならない。

 一言でいえば、産業やビジネスの「エッセンシャル化」である。私自身もここのところ、経営コンサルティング業の「エッセンシャル化」の姿を模索し、試行錯誤を繰り返している。

 自分がかかわってきた仕事の「エッセンシャル化」とは、その業務幅の拡張たる「拡業」もあれば、事業複合化を目指した「複業」「合業」も、転向せざるをえない「廃業」「転業」「改業」も、あるいはも斬新な産業・ビジネスを創り出す「造業」もあり得る。

 急場を凌ぐのための一時的な救済をもらって、「昨日に戻る」ことをただひたすら待つのでは、話にならない。救済も然り、ポストコロナに向けて動態志向的な「Change」に価値をおき、そのインセンティブの原資として有効に活用されたい。

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