住めば都、住めなくなったら酸っぱい葡萄か?

 住めば都というが、実は違う。

 人間は住むところを都にしたがる、する生き物なのだ。いわゆる自己正当化、自己優位化の心理が働くのだ。郷土愛もそのうち。私はA地に生まれてよかったとか、私はB国に移住してよかったとか、みんなそうだ。宇宙に出たら、私が住む地球が一番というだろう。

 もちろん私もマレーシアに住んで、マレーシアが良かったというわけだ。将来大金持ちになってアルプスを望む別荘に住んだら、やっぱりスイスが最高だというだろう。

 そんなもんだよ。

 では住めなくなったところはどうなるか。それは酸っぱい葡萄になる。跳ね上がってもたわわに実った葡萄に届かなくなったキツネは、「どうせ酸っぱいんだから」と吐き捨てて去る。人間なら誰もがそういうときがある。ただその気持ちを抑えないと、人間はただひたすら下り坂を歩き、堕ちていくことになる。

 マレーシア移住ビザのMM2Hは、条件が大幅にアップしてそれに届かなくなった日本人はたくさん出てきた。その話題をタブーにせず触れているのは、私くらいだろう。できなくなったことをあっさりと諦め、できることを捜し求めるのがいちばん利益になる。

 どうかマレーシアを酸っぱい葡萄にせず、自分から葡萄畑をつくろう。そう思わないか。私が主宰するマレーシア移住の会もいずれ消えるだろう。どうかメンバーの皆さんは、それぞれ立派な、素晴らしい葡萄畑をつくり上げてください。

 そう願ってやまない。

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