訴訟出張で広州へ

 明日、日曜日から1泊の広州出張へ出かける。

 月曜日に、某顧客企業広州分公司の労働仲裁に出廷するための訴訟出張だ。この企業には過失がなく、従業員の一種の悪質訴訟である。

 新労働法令は、一部の労働者に悪用されている。この夏に、最高人民法院が「目下の情勢下における労働争議紛争案件の裁判活動の実施遂行に関する指導意見」を公布したとき、最高裁の責任者が、記者の取材に対して、法令公布の背景について次のように説明した(抄訳)。

 「『労働契約法』と『労働紛争調停仲裁法』が昨年(2008年)に相次いで施行されてからは、多くの労働者がそれを自身の利益を擁護する利器として、仲裁や訴訟等の方式によって対立を解決しようと乗り出した・・・」

 通常、「労働者の合法的利益」という定番のセリフだが、「合法的」という三文字が抜かれていた。それから、「利器」という言葉に注目されたい。「鋭い攻撃性の武器」だ。「合法的利益を守る盾」であるはずだった法律が、いつの間にか、「不当利益を奪取するために、他人を攻撃する武器」になったのか、悲劇だ。

 最高裁の責任者の発言にしては、衝撃的だった。

 中国では、労働裁判での会社の敗訴率は平均8割以上。「利器」にやられている会社も少数ではないはずだ。このような労働裁判の現場に立っていると、無性に悲しくなる。信義誠実の原則に基づく価値観の崩壊は、大きな悲劇だ。

 そんな重い気持ちで、明日広州へ飛び立つ。全力を尽くして、法廷で戦う!