スリランカ日記(14)~美食物語その一、ガザミと上海人

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 「スリランカなら、是非、あの青蟹(チンシェ)を食べてきてください」、上海を離れる前に、運転手に言われた。

 「青蟹」とは、日本語で「ガザミ」という。ワタリガニともいわれるが。運転手がいわく上海の市場で売られているガザミの多くは「スリランカ産」になっているので、原産地でより新鮮で美味しいものが食べられるのではないかと。しかし、スリランカ旅行中に探していたが、ガザミはなかなか見付からなかった。

31871_2海鮮レストラン「リフレッシュ」でガザミ(シンガポールスタイル)を食す

 Crab!Crab!運転手のピアンテさんに、「カニを食べられるレストランへ連れて行け」としつこく求めたところ、ゴール滞在中に案内されたのは、ヒッカドゥワ(Hikkaduwa)にある海沿いのレストラン「リフレッシュ」(Refresh Restaurant)。ヒッカドゥワは、港町ゴールから15キロほど離れた小さな街で、サーフィンやダイビングなどマリンスポーツのメッカである。「リフレッシュ」はどうやら、現地でも有名な海鮮レストランらしい。

 海が見え、潮風に吹かれながら食べたのは、ガザミのシンガポールスタイル辛味噌炒め。なかなかの味。カニの旨みがしみこんだソースを、白いご飯にたっぷりかけると最高の味になる。スリランカでは、毎食(朝食から)のようにカレーが出てくる。旅の後半になると、さすがカレーに食傷気味だ。何とか違う味を食べたい気持ちがどんどん強まる一方だ。

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31871b_3コロンボの中華料理店「海鮮城168」でガザミをいただく

 スリランカ旅行の最終日(1月2日)、マウント・ラヴィニヤ・ホテルで昼食を取り、コロンボ市内で見物・買い物して、1時間のスリランカ式マッサージを受け、完全にリフレッシュした後、あるレストランに向かった。

 コロンボ市内にある中華料理レストラン「海鮮城168」(168 Seafood Palace)。「168」(ヨーリューバー)とい縁起数字に引かれたのだった。これは、恐らく本物の華人がやっているところではないかと直感した。

 予感が当たった。オーナーは正真正銘の上海人だった。話を聞くと、コロンボで十数年も住み着いて、海鮮の輸出貿易をやりながら、レストランを経営しているという。

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31871b_4「海鮮城168」のブラックタイガーとマナガツオ

 20時過ぎると、100席ほどのレストランは大分埋まってきた。なかなかの繁盛振りだ。そこで注文したのは、ガザミ、ブラックタイガー(海老)、マナガツオのいずれも生姜と葱の蒸し物、それに豚スープ、野菜炒めとご飯。

 さすが産地(産地といっても近海ではない)というだけに、材料は良い。カニや魚は身が引き締まっていて美味だ。味付けは少々濃い目だが、基本的に香港風で洗練されている。あとから、シェフがチラッと顔を出してくれたが、顔立ちは香港か広東あたりの南方系だった。

 スリランカの海鮮で満腹したところで、コロンボ国際空港に向かい、1月3日未明発のスリランカ航空UL888便でバンコクへ飛び立つ。

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