独裁より筋悪、アメリカのフェイク民主主義

 日本人は基本的に親米。なぜ親米かというと、米国は民主主義の先鋒だからだ。それもひとえに「民主主義は善である」という「価値判断」が先入観になっているからだ。

 では、民主主義とは何か?民主主義とは多様性を容認するものだ。だったら非民主主義を排除する民主主義はつまり独裁主義ではないか?米国の言っている民主主義とはまた何か?ダブルスタンダードや矛盾はないか?世界最大の民主主義国家インドがロシア制裁に加わらず米国の意思に逆らうだけでなぜ、いじめられるのか?…

 ロシアのラブロフ外相がこう語っている(2022年5月18日付在日ロシア大使館配信抜粋)――。

 「多極化という用語は、ロシアの主導で国際外交用語として確立された。米国率いるNATO加盟国は、多極性については考えることさえ嫌がっている。グローバリゼーションとは、多極化と見せかけながら実のところは、西側の考えに基づき他のすべてを動かすための条件作りにほかならない。西側のルールでゲームが行われるという条件の下、この分野でうまく機能する国々が現れその中心により多極化世界が形成されそうになると、西側はすぐさま条件の『書き換え』を行う」

 まさに本質の指摘である。

 米国は確かに盛んに「民主主義」を世界にアピールしている。ただし、それはあくまでも国ベース、各国内の民主化である。各国内の民主化によって、米国は親米勢力を支援し、政権交替させることも、(準)傀儡政権をつくることも可能になる。つまり、各国の民主化米国の世界独裁化のためのツールになり、ローカル民主化によって、グローバル独裁を実現するということだ。

 名実一体の独裁専制よりも、カモフラージュを施した米国の民主主義の方がよほど隠蔽的で筋悪だ。

 米国が独裁専制国家や非米式民主主義国家を敵視するのは、その国の国民のためではなく、それが米国の世界独裁化を妨害しているからだ。プーチンはこの本質を看破し、米国による世界独裁体制を覆そうと打って出たのである。

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