懐かしアルバム(7)~世界一のホテルに泊まる

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 ザ・オリエンタル・バンコク(現在、「マンダリン・オリエンタル・バンコク」)。

49469_1オリエンタルの出迎えリムジンサービス(2006年1月)

 世界一のホテルとして名高い。死ぬまで一度は泊まってみたいという宿願が叶ったのが、2006年1月。台北からタイ国際航空機でバンコクにつき、オリエンタルの出迎えリムジンに乗った。

 BMW7シリーズの車内には、レモングラスの香りがかかった冷たいタオルとペットボトル入りのオリエンタル特製ミネラルウォーターが備え付けられている。フライトの疲れが一気に吹っ飛ぶ。

49469_249469b_2ザ・オリエンタル・バンコクの客室(2006年1月)

 車がホテルの正面玄関に滑り込むと、笑顔のマネージャーとスタッフが、「Good Afternoon, Mr.Tachibana, welcome to Oriental Bangkok」とすでに待機していた。到着数分前、リムジンの運転手が携帯電話で5秒間の会話をしたのが、到着の合図だったのだ。素晴らしい演出だ。

 チェックインは、日本人スタッフに案内され、部屋で行う。最近、どこのホテルも日本人客には日本人スタッフがやってくるが、私はどちらかというと、「美味しい屋台はどこだ」などとドロドロした地元情報を聞き出したいので、地元スタッフのほうが都合がよい。かといって、マナーの問題で断るわけにはゆかない・・・。まあ、よしとしよう。

 部屋はリバーウィング。チャオプラヤ川を一望する。川に輝く夕日の黄金色の光が水中のパゴダを織り成す。息を呑むほど美しい光景だ。いや、美しいという形容では足りない。人生最高の幸福感に浸かる瞬間は、ああ、明日死んでも悔いはないと感じる、こういう甘美な瞬間だ。

49469_3チャオプラヤ川を一望する(2006年1月)
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 そして、妙なことに気づいた。ロビーのカフェにちょっとお茶でもしようと部屋を出たりして、戻るたびに部屋のタオルが交換され、灰皿が綺麗に片付けられ、スリッパーまできちんと揃えられて部屋が整えられたのだった。バトラーがついている。そのバトラーが恐らくつねに廊下のビデオカメラをチェックしているのではないかと思った。客が出かけるのを確認すると、部屋の片付けに飛んでくるのだろう。そういえば、香港のペニンシュラも同じシステムだった。

 といことで、3泊、感動の滞在だった。世界の一流ホテルに泊まる。一流を知らなければどうやって一流を作り出すのか、というのが私の信念だ。

49469_4オリエンタルのタイ舞踊ショーレストラン「サラリンナム」(2006年1月)

<注>マンダリン・オリエンタル・バンコクは、「1人の宿泊客に対して4人のスタッフがついている」と称されている。タイスタイルのきめ細やかなサービスが世界的に高い評価を受けており、インスティテューショナル・インベスター誌やコンデナスト・トラベラー誌などの権威誌による調査で常に世界のトップクラスに選ばれている。1974年に、香港に本拠地を置く高級ホテルグループであるマンダリン・オリエンタルホテルグループ(ジャーディン・マセソン・グループの傘下)に買収され、現在に至るまで同グループを代表するホテルとして、また、バンコクやタイのみならず、アジアを代表する最高級ホテルの一つとして君臨し、国内外の賓客や多くのビジネス客、観光客が定宿として訪れている。マンダリン・オリエンタルホテルグループの傘下になっても永らく「マンダリン・オリエンタル」の名を冠さないで営業を続けてきたが、2008年9月に、「ザ・オリエンタル・バンコク」から「マンダリン・オリエンタル・バンコク」に名称を変更した。

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