金曜日午後は、R社の社内研修。テーマは「職業倫理啓発」。
実務研修よりはるかに難しいテーマである。説教になりやすい。説教になると、効果半減、場合によってマンネリの逆効果さえある。唯物思潮の濃い中国では、近年の経済成長に伴い、ビジネスパーソンとしての価値は、「何が正しい、生きる目標とは何か」なんて原理原則の青臭いことから、「いかに多くの金を手に入れられるか」という、経済的な軸に移ってきた。
倫理の教育といえば、これら経済的な軸を否定するイメージが濃い中、私は、むしろ肯定する説を取った。利益を追求すること、豊かな生活、幸福を追求することは、人間の権利であると正当性を訴えた。
そこで、経済学の利益最大化観点を持ち出し、パレート最適効率法則を分析ツールにし、厚生経済学上の利益配分均衡・最大化原理を説いた。そこから、倫理規範は、経済効果、ステークホルダー(利害関係者)の利益最大化に導くうえで、欠かせないルールだということを悟ってもらった。
分かりやすく言ってしまえば、次になる。
企業は、いろいろな従業員が一緒に働いている場所である以上、自分勝手に好き放題をしている従業員がいれば、それは会社にとっても、他の従業員にとっても迷惑であり、その行動は許されないものになる。それを規制しようと、さまざまな取引コスト(制度や罰則、調査ないし場合によって法的手段まで)がかかってくる。このような取引コスト増はつまるところ会社、全従業員の福利減を招致する。結果的にパレート法則に逸脱する非経済的行為になり、ステークホルダー(当事者本人も含めて)の利益ないし幸福が損なわれることになる。
いくつか事例を踏まえて、ケース学習のグループディスカッションで、異常に盛り上がった。従業員たちの口から出してもらった結論は、いかなる講師の説教よりも有力であり、納得性が高い。私は、「教えない教え方」を取っている。知識よりも、「知識の学び方」を身につけさせるのが私流である。
R社からは、新年度の従業員教育研修を全面的に引き受けてほしいとの申し出を受け、嬉しい限りだ。





