熱気羊肉、上海人富裕層が爆食いする理由

<前回>

 何時間も、店頭でひたすら羊肉を薄切りスライスするおじさん。こんなにたくさんカットして売れるのだろうか。しかし、心配ご無用。注文に追い付かないほどどんどん売れている。一晩で羊何頭食われるだろうか。数えていたら、眠れぬ夜になりそうだ。

 上海・双葉居熱気羊肉は、羊肉専門店。「熱気」とは「新鮮未冷凍」、つまり新鮮な羊肉をそのままスライスして火鍋(しゃぶしゃぶ)にすると。この店は、騎馬民族系の牧場と特別な取引関係があって独自のルートで羊肉を仕入れているという。

 上海人は羊肉嫌いという固定観念を持つ私は、予約なしでしかも17時台という早い時間帯に行くと、すでに満席。待つこと20分、やっと入店。18時を回ると外は長蛇の列。異常な光景だ。いつの間にか、羊肉にこんな人気が出たのか。目を疑ってしまう。どうしたことか…。

 店主が密かに教えてくれた。牛肉や豚肉よりも羊肉が健康に良いという情報が流れるなか、人気がどんどん出る。一方、値段が安くない。特に「熱気羊肉」は高いので、富裕層しか食べられない、と。見渡すと、何匹も愛犬を連れ込む家族客がいて、確かに富裕層っぽい。

 それにしても、「羊肉が健康に良い」という情報はどのように流れているのか、興味が尽きない。ライブコマース全盛期の中国ではもしや、羊肉もインフルエンサーに頼って爆食いブームになったのだろうか。

<次回>

タグ: