泡飯という貧乏人の食べ物、富裕層はこうして食す

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 上海料理に紅焼(ホンシャオ)をはじめとする醤油風味で濃厚系の品が多い。すると、主食はどうしてもあっさりしたものが食べたくなる。そこで「泡飯(パウファン)」の出番となる。和食のお茶漬けに似ているが、ただお茶でなく、スープを使うので、「スープ漬け」といった方が実態に近い。

質素型泡飯 – 菜泡飯

 ご飯にスープを入れて数分煮て米粒を少し柔らかくするが、お粥のように滑らかにする必要はない。中国人は日本のお茶漬けに接したとき「なぜお茶なの」と驚いたりする。いくらあっさり系とは言え、お茶ではあっさりすぎる。上海語で「鮮(シー)」という独自の旨みで貫く必要があって、やはり出汁の効いたスープが欠かせない。

 スープが「鮮」であれば、具材は質素でも構わない。もっとも有名なのは「菜泡飯」で、単純に青菜しか入っていないものである。「泡飯」はもともと貧乏人の食べ物だが、最近富裕層でも食べている。その場合、具材が質素でも、スープの「鮮」度で勝負する。もちろん、海鮮や珍味といった具材でアップグレードすることも可能だ。

贅沢型泡飯 – 蟹粉泡飯

 「B級A食」――私の造語だが、質素な食べ物(B級)は、贅沢な食べ方(A級)で食べる。商品のリパッケージ、これもマーケティングのうちと言える。さてさて日本のお茶漬けも是非、リパッケージしてインバウンドの中国人客に爆食いしてもらいたいものだ。

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