上海料理に酔い痴れる日々

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 上海出張の楽しみは、上海料理を食べること。以前長い間上海に住んでいた頃は、あまり食べていなかったが、いざ離れてみると、無性に恋しくなる。私が通っているのは、「小実惠」という小さな上海料理店。

 中国語の「実惠(スーフェイ)」とは、あまり高くない手頃な価格で十分な満足を得られるという意味だ。とは言え、この店の価格は決して安くない。しかし、十分すぎるくらいの満足が得られるので、コスパがよく、私は通っているのだ。現地の食通の間でも有名になっているようで、常に満席状態だ。

双白拼盘

 食材の品質も、下ごしらえのレベルも、かなり高い。双白拼盘という茹で内臓2種(豚の胃袋と腸)盛りを食べれば、一目瞭然。全く臭みがなく、歯ごたえが素晴らしい。上海料理は、「紅白料理」とも言える。醤油系は「紅」で、蒸し・茹で系は「白」。どちらかというと、「白」の方の調理が難しいらしい。

白焼鱔絲

 白焼鱔絲(田うなぎ)。田うなぎといえば、「紅」系だが、この店では、「紅白」のどちらかを選べるようになっている。田うなぎは下処理が面倒な上、食材自体が細くて食感がパサパサで通常はやや濃厚な醤油仕上げで風味を持たせるのだが、あえて白焼きで出すとは相当な自信がある。下ごしらえも出汁も調理法も素晴らしい。

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