米中関係と時局、中国人経営者2人の異なる見解

 時局について、2人の中国人経営者(ともに40代・男性)と意見交換する機会を得た。2人はまったく異なる観点だった。概要を紹介する。

 Aさんは、博士学位をもつエリートである。年に数度渡米し、娘が某米名門大学に合格したばかりで、将来は一家アメリカに定住する計画を立てている。Aさんは、近年の渡米体験から、カリフォルニア州一帯の治安悪化と物価高騰について頭を横に振りながらも、米式の民主主義制度は間違っていないと考えている。現在米中や世界の厳しい時局については、習近平の独裁・強権に問題があると認識しているようだ。

 私は「では、政権が交替して、次の指導者が習よりもさらなるタカ派だったら、問題がもっと深刻化するのではないか」と反問したら、Aさんは回答を避け、言葉を濁した。Aさんは弁護士出身で、論理的な議論が得意なはずだが、それができずにいる。米国・西側の影響を受け、一家の将来もアメリカに託した以上、結局、希望的観測に浸からざるを得ない身となった。

 Bさんは、特に学歴が高いわけでもない。実務上、中国企業としてその海外ビジネスが直近の局面で多大な困難に遭遇している。彼は、ほとんどの問題は、アメリカに起源していると認識している。米式民主主義は真っ赤な嘘で、中国の台頭を抑制しようとイデオロギーを持ち出しているだけだと。

 米中問題のコアは、台湾問題。中国による台湾統一が早まれば早まるほど、問題が早く解決し、世界・地域平和が実現できるし、商売もうまくいき、経済も繁栄を取り戻せると、習近平政権支持、米国敵視の姿勢をBさんは隠そうとしない。Aさんよりも、Bさんの論理がはるかに現状に即して、実務的だった。

 中国人のなかに、Aさんのような人も、またBさんのような人も、たくさんいることだろう。また対比的に2つの異なる立場を代表していると言っても過言ではない。ただ、共通点がある。この2つの観点は、いずれも中国のなかでは公にできないことだ。

 Bさんの観点は、習政権の意図するところではあるが、過激すぎるから、タブーとされるだろう。それだけ、習近平は実は、ハト派である。いささか優柔不断とも思えるほど、特に対台湾問題では、最後の最後まで「和平統一」の道を模索しているようだ。

 そうした意味では、平和維持の観点上、米国・西側はどちらかというと、習近平政権を支持するべきだが、実際にはそうなっていない。中国は米国・西側のような民主主義もどきの芝居をしない。厳しい局面に耐えながらも、金融、ハイテク、そして軍事という3方面で着々と実力をつけている。

 「戒急用忍」という中国語の熟語がある。焦燥感やせっかちな性格を忍耐で抑えるという意味だ。清朝の康熙帝が息子の雍正に贈ったという伝説があり、咸豊帝もこの言葉を気に入って座右の銘としたそうだ。中国古来の帝王学に習近平が精通している。歴史が浅く、哲学に無知な米国人には理解できないだろう。

 時間は中国の味方。2030年までには答えが出るだろう。

上海市内
タグ: