「反中産業」全盛期、誰にも言えない「脱中国」の真相

● 台湾問題は中国の内政問題だ

 4月下旬、台湾訪問中のグアテマラ大統領は蔡英文台湾総統に、台湾でなく、唯一の「中国」と称した。台湾はきちんと改憲しなければ、憲法の通り、「中華民国」略称「中国」になる。馬英九氏は大陸訪問中にも堂々と「大陸も台湾も中華民国だ」と訴えていた。蔡英文政権は独立するなら、まず憲法改正し、中華民国という国家を抹消してからでないと筋が通らない。

 そして日米もきちんと、民主主義の典範としてイデオロギーを認めるなら、台湾を国家承認すべきだろう。なぜそれができないのか?台湾が独立国家だったら、憲法改正をし、そして民進党は中華民国の総統に立候補するな!

 現状では、中国大陸と台湾の問題は、中華人民共和国の内政問題だ。

 これは日本国政府の立場でもある。それに反する言説は個人の責任になり、まして台湾独立となれば、中国法違反行為にあたる。中国法の一部は効果が海外や外国人にも及んでいる。中国当局はもちろんSNSのサーチも含めて情報を入手している。イデオロギー的な原理主義者以外の日本人は、下手な言論は控えたほうが良いかと思う。もしや後日に清算がやってくるかもしれない。

● 反中ビジネスと偽・似非民主主義者

 原理主義者とは、腹に爆弾を巻き付けてどっかに突っ込んで自分も死ぬ準備ができている人たちのことを言っている。日本人には、いわゆる自由や人権のために死んでもいいという原理主義者は何人いるのだろうか?いわゆる自由・民主主義社会でもポリコレで言論や思想・思考の自由が失われるなか、「民主主義」の真義の見直しを余儀なくされている。

 故に、私は3年前に唯一的民主主義賛同の立場を放棄し、中国共産党独裁にも条件付きで賛同する立場に切り替えた。

 反中共の海外中国系メディアを複数見ている。面白い共通点がある――。トランプもバイデンも支持。反中でさえあれば何でも支持する。トランプとバイデンの戦い、その本質は何か?そんなものはどうでもいい。彼たちは要するに単なる「反中ビジネス」なのだ。真の国益(所在国を含めて)など関係ない。

 その反中マーケットの顧客には馬鹿が多く、基本的に騙されている。あの反中ビジネスの王様である郭文貴はついに詐欺でアメリカで逮捕されたのも好例。せいぜい日本人は踊らされないようにしよう。

● 米国追随の賭け

 米国追随一本で、最後にアメリカが中国に負けた場合、どうするのか?勇ましいことを声高に唱えても、一夜にして180度転向する輩は、新しい主人に見下される。あるいは、原理主義者で理念のために自決するのも一択だ。「USA万歳」三唱して投身する日本人はどれだけいるのだろうか?

 政治家、自民党を含めてみんな頭がいいのでとっくに準備している。お金も逃げ道もない貧しい似非保守層は切り捨てられるだけ。愚民とはそういうものだ。

● 中国による「逆・脱中国」

 中国デカップリングは、米欧はもう、できない、やらないと明言している。それは、日韓一致団結してやるものだ。元々中国嫌いな日本はノリノリ。元々中国好きな韓国はいやいや。元々お互いに嫌い合う日韓はくっつくが、両方ともしぶしぶ。そして、中国デカップリングに取り組む日韓は共にボロボロ。飼い犬の犠牲は同情されない。日本国と大韓民国よ。

 広島G7のテーマは、「反中国の経済的脅迫」。当初、「中国デカップリング(脱中国)」を言い出したのは日米欧だった。自分から脱却できないところで、相手の脅迫とするのは、あまりにも滑稽。いや、ちっとも滑稽ではない。実は中国が「逆デカップリング」を主導し、着々と進めている。日米西側が中国による「逆・脱中国」で困っているから、「脅迫」と言い出したわけだ。

 気に食わない旦那と離婚しようとするが、生活費や小遣いだけは欲しいから、「経済的脅迫」で非難し、しかもかかあ天下の立場を維持したい、自立できない男癖の悪いじゃじゃ馬だ。

● 飼い犬と朝貢国

 日本はアメリカの飼犬なら良くて、中国の朝貢国じゃダメ。という考え方があってもいいと思う。真の独立国家になる見込みがないなら、従属先や従属の様式を検討する必要があるだろう。それを検討する余地もなくなったら、最悪だ。だから、現実主義的に早い段階で考えることだ。

 南京事件で日本軍が30万人の中国人を殺したかどうか定かではないが、2発の原爆でアメリカが30万人の日本人を殺したことは紛れもない事実だ。なのに、なぜ日本人はアメリカを好んで、中国を憎むのか。

 中国語では「賤(ジェン)」という表現がある。「げす根性」というか、綺麗事ばっかり言いながらも、金や力に一発屈してしまい、一転して媚を売る、そうした卑屈な行為を指す。ならば、アメリカのように日本を一度力で制圧したほうがいいと、中国人がそう思っているかもしれない。

 テクニカル的には、力を金の両方をうまく使い分ける。

● 台湾防衛の問い

 『なぜ台湾を守る必要があるのか、その三つの理由』というコラム。この手の「正論」の裏に5つの実務問題が横たわっている。

 1. 台湾は守り切れるのか?
 2. どれだけのコストをかけて守るか?
 3. コストの分担は合理的か?
 4. 台湾陥落した場合の出口とは?
 5. 台湾防衛と国益を天秤にかけての結果は?

 文中に批判されたフランスのマクロン大統領はまさに、答えを出した指導者である。

 食料自給率の1つを取ってみると、日本は38%、台湾は31%。武器弾薬だけで戦争を戦えない。武器を買う前に、まず食料増産だろうが。それから、私のように1日1食にしよう。3食は軍人だけ。

 「台湾有事は日本有事」の結論は?だから、「日本有事」を受け入れる?それとも、「日本無事」に導く?台湾防衛のために、沖縄切り捨てという選択肢が、あっていいかどうかの問題から逃げられない。ましてや、ミサイルで中国本土を攻撃するとなると、まさに自殺行為。日本人が一番死ぬのが、火を見るより明らか。

● 台湾人の親日に訳あり

 『「台湾=親日」という図式──政治を考える』を読んで、私の感想を述べる。

 私が主張してきたように、台湾人の親日は、本源的な親近感や愛情ではなく、共通の敵である中国を抱えた故の「同病相憐れむ」感に由来し、日本の力を借りての利己行為にすぎない。

 だから、日本人は騙されて中台紛争に巻き込まれるべきではない。台湾が中国に占領されても、台湾人は一夜にしてころっと中国人に変身する。しかし、日本人はそれができない。日本人は奴隷になり、中国人どころか、台湾人よりも下等民になる。

 記事に指摘されているように、「台湾人は無条件に日本を愛しているわけではない」。思うに台湾人は、意図的にまたは無意識に日本を利用している。

● 民主と自由と娼婦

 「民主・自由という価値を守るために戦う」と唱える人に聞きたい。「いくらの代価を払って戦うつもりか?」。特にメディアや学界の高尚な人たち、そもそもあなた達は給料や印税や広告料や研究費をもらって「戦って」いるんだろう。

 それは、恥ではない。生計を立て、家族を養い、もう少し良い生活しようと誰もが同じ思いだ。ただ、メディアや学者は、まるで神の使者であるかのような言行はやめよう。神聖性の偽りが欺瞞だ。メディアも学者も娼婦も、職業に貴賎はない。

 中国にことわざがある――「娼婦のくせに貞節碑を立てる」。言うならば、サンダカン八番娼館のからゆきさんたちの墓碑は、よほど価値があって尊敬に値する。

 「民主」についてくるのは決まって「自由」や「人権」。なぜ、その対極である「責任」や「義務」が出てこないのか?アメリカ主導の共産主義2.0、文化大革命2.0は、本家共産中国よりはるかに巧妙な手口を駆使している。紅衛兵はLGBTQに変わっただけ。

 蔡英文総統のレーガン図書館での演説に、報道審査・規制を行うことを米国が決めた(台湾メディア)。ジャーナリストの入場資格審査、報道内容の審査・制限等が予定されているという。これは中国とどう違うのか?さらにTikTok禁止なども法案化に向かえば、結局、中国と同じだ。「安保上の理由」というなら、中国も安保上の理由。同じだ。

 民主主義制度下の権利や自由の暴走を、制限しないといけない。独裁的手法の導入はやむを得ない。よくわかる。結局のところ、私が繰り返してきたように、民主も独裁も見た目の形態が違っても、本質は一緒だ。ある意味で、民主を偽った独裁が欺瞞に満ちてより悪質。

 私は中国が好きになったわけではない。アメリカへの嫌悪が増大しているだけ。

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