奄美の名物料理といえば、「鶏飯(けいはん、または、ケーファン)」。
日本各地に郷土料理として存在する「とりめし」と同字異音であるため、混同されやすい。「とりめし」が丼物や炊き込みご飯の形式に近いのに対し、奄美の「けいはん」は茶漬けに近い食べ物である。
奄美の地鶏は旨い。煮出した鶏がらスープは酒と薄口醤油または塩で味を調える。 醤油や酒で下味をつけた鶏肉(胸肉かささ身)は蒸し、細かく割く。干ししいたけは戻し汁と共に甘辛く煮、刻んでおく。
卵は錦糸玉子にする。パパイヤの漬物、紅しょうが、たくあんなどの漬物をみじん切りにする。 薬味として刻み海苔と小口切りにしたネギとみじん切りにした島蜜柑の皮(柚子も可)を添える。
ご飯は茶碗の半分ほどによそい、食べる直前に好きな具を好きなだけ乗せ、熱々のだし汁をたっぷりと注いで食べる。ご飯もだし汁もお代わりOK、何杯でも好きなだけ食べられる(一人前定量の店もあるが、全体的に量が多い)。
「鶏飯」といえば、中国や東南アジア系の「海南鶏飯」を思い出すが、ここ奄美の「鶏飯」は少々趣が異なる。とにかく鶏がらスープが決め手なので、コンセプトに関してはラーメンに近いかもしれない。そのためか、奄美では「鶏飯ラーメン」たるものが実在する。決して「飯」と「ラーメン」のミックスではなく、「飯」の代わりに「ラーメン」が使われるだけの話で、いわゆる「鶏飯」のラーメン版なのである。
私個人的には、やはり元祖の「めし版」が好きだ。