太古の原生林、森の瞑想とガラパゴス化する企業

 東洋のガラパゴスとも呼ばれ、世界的に類を見ない生態系を持つ奄美大島。その独自の亜熱帯性の植物、アマミノクロウサギに代表される多種多様な動植物の宝庫で、その希少性が世界的にも再認識されている。

69395_1奄美大島・金作原原生林

 中でも、金作原(きんさくばる)原生林は、日本における代表的な亜熱帯天然広葉樹林でもっともよく保存されている原生林である。

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69395b_2奄美の原生林を歩く

 晴れの日でも、原生林の中は暗い。空を覆わんばかりの背の高い大型ヒカゲヘゴや、樹齢100年以上といわれるイタジイやイジュが生い茂る。まさに、太古の森そのものだ。

 「森」は心理学的に無意識世界の象徴であり、また生命を生み出す母親なる象徴でもある。しかし、現代の都市生活によって、「森」という存在が我々の傍から奪われていくのである。心のよりどころを求める我々人類は、母なる森の懐に帰る本能に自覚し、それに駆り立てられる。

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69395b_3奄美の原生林を歩いて考える・・・

 原生林を歩きながら、私はふと気づく――。母なる森から与えられた安らぎと癒しは、リラクセーション効果だけでなく、人間の無意識や潜在意識を蘇らせる効果をも持ち合わせている。いや、リラクセーションを源泉とする「瞑想」から、物事の本質を見抜く洞察力が生まれるのである。

 日本文化のルーツともいわれる縄文文化まで遡ってみると、その原点は森を敬い、そこに神が宿っていると信じる心にほかならない。

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69395b_4原生林の様々な表情

 ここ奄美の原生林から、私は精神の解放と内なる可能性を改めて確認したような気がしてならない。

 現代の経営者は、日々利益を追っかけるなかで何かを見失っていないか。いや、会社の利益よりも自分の地位に留まるための私利に目線が集まると、それは大きな脱線や暴走にまで発展する。やがて、ガバナンスから大きく逸脱する会社は、ガラパゴス化していくのであろう。

 巨額損失隠し問題で揺れるオリンパスの経営陣には、ぜひ「原生林を歩く」ツアーを組んで差し上げたい。