マレーシアの東大とも称されるマラヤ大学(Universiti Malaya)との提携がまとまりつつある。早ければ今年の夏から、当社のクラスがマラヤ大学で開設される見込みである。これは、AIやデジタル技術が急速に発展する中で、次世代の実務能力を育成する重要な一歩となる。
AIが人間に取って代わることはない。しかし、AIを使いこなせる人間が、AIを使いこなせない人間に取って代わるのは確実である。もはや、AIの活用能力は競争力の核心となっている。
一昨日、某大学の教授とAIのプロンプトエンジニアリングについて話し込んだ。生成AIは、入力されるプロンプト次第で全く異なる答えを出す。つまり、プロンプトの設計と最適化が、AIを使いこなす鍵となる。プロンプトエンジニアリングとは、AIから望ましい出力を得るために、指示や命令を的確に設計するスキルであり、今後の人材育成に不可欠な技術となる。
しかし、日本ではAIのプロンプトどころか、AIの存在すら意識していない「識者」が未だに幅を利かせ、無意味な発言を垂れ流している。知識やスキルのアップデートが欠如したまま、旧時代の価値観にしがみつく者が多すぎる。AI時代においては、単なる知識ではなく、それを活用できる能力こそが求められる。
AIを使いすぎると、考えることが減って馬鹿になるというのは、使い方が間違っているからだ。AIの間違いを指摘し、AIに異なる視点に気付かせ、AIをコーチングし、AIと議論し、AIに本質の抽出をさせ、AIがより賢くなるよう教育するのが、人間で、プロンプトである。私は1つのアジェンダでAIと20回以上の問答を繰り返すこともある。
AIは人間の仕事を奪うのではなく、AIを操ることができる者とできない者の格差を決定的に広げる。それは、教育の現場にも言えることだ。マラヤ大学でのクラス開設は、単なる学術交流ではなく、AI時代に適応した人材を育成するための戦略的な取り組みとなる。今後の展開が楽しみである。