JETROエコシステムツアー(2)~商人の頭脳をもった職人はいずこ?

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 スタートアップ企業を支えるのは、人材。マレーシアは人材不足が一際目立っている。なぜだろう。この疑念を抱いて、私はもう少し深く探ってみたい。

 視察ツアーが終わると、昼食をはさんで午後は場をクアラルンプール市内のマンダリン・オリエンタル・ホテルに移し、日本企業とマレーシア企業のMeetupセッションが行われた。私も日本企業の1社として、登壇した。

 私が主に中国やアジアで運営中の日系企業現地マネージャー育成プログラム「立花塾」を紹介し、e-Learningと研修受講者のTracking(追跡・事後フォロー)機能を包括的に盛り込み、On-siteとOff-siteを一体化させるTotal Supportシステムの構想を発表した。

 発表を終えると、すぐにマレーシア企業の若い経営者がやってきた。まさにeラーニング事業を立ち上げたばかりの創業者である。その場でスマホを出して簡単なデモンストレーションを始めた。

 熱意に惹かれて聞いていると、開発されたプロダクトはいたって一般的な「標準型」eラーニング・プラットフォームであって、特色というものはほとんど見られない。会話も、「ニーズをとことん質問する」というマーケティング・アプローチが欠落していた。

 実はこれ自体も経営者・マネージャー研修が不足している証ではないかと、私は一瞬にそう感じた。

 おそらく典型的な技術者タイプの経営者だろう。IT事業、その成否のキーはどちらかというと、技術よりもマーケティングである。市場のニーズを的確に把握し、あるいは発掘し、創出し得るアイデアを生み出すこと、そしてこれを実現させるための仕組みづくりが、最重要である。これをクリアした段階で、技術的な話やディテールの出番となる。

 Grab社が大成功している。配車システムそのものよりも、全体的な事業モデルの構想が本質的な価値創出に大きく寄与したからである。つまり、商人の頭脳をもった職人が求められているのである。

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