第四次産業革命、「少数のエリート vs 大多数の脱落者」凡人受難の時代

 第一次産業革命は、農民が都市へ移動し、工場労働者という新しい雇用が創出され、製造業が発展。第二次産業革命は、製造業がさらに拡大し、より多くの工場労働者が必要となり、雇用が増加した。第三次産業革命(IT)は、知識労働やITエンジニアなどの新たな雇用が生まれた。

 しかし、第四次産業革命と雇用にこれまでの3回の産業革命と大きく異なる点がある――。

 まず、「量」の相違。第四次産業革命(AI・自動化・IoT・ビッグデータなどの技術革新)においては、総量としての雇用喪失が雇用創出を大きく上回る。過去の産業革命では、新たな技術が導入されるたびに新しい雇用の機会が生まれ、それが労働力を吸収する役割を果たした。しかし、第四次産業革命の特徴は、「技術が単純労働やルーチンワークを直接代替し、人間の仕事を消滅させる力が極めて強い」ことにある。

 第四次産業革命によって創出される雇用は、AI開発者、データサイエンティスト、サイバーセキュリティ専門家といった高度職に集中する。それらのポストは少数であり、すべての失業者を吸収するには不十分だ。かつての産業革命では「農業から工業」「工業からサービス業」というように、比較的多くの労働者が新しい職種に移動できたが、今回は「非高度人材」にはほとんど新しい受け皿がない

 次に、「質」の相違。第四次産業革命では創造的・戦略的な仕事が生まれるが、そこに就けるのは一握りの「高度人材」に限られる。つまり、「凡人」が適応できる余地が少なく、低スキル労働者の再雇用先が限られる。例えば、工場労働者や事務職の人が、いきなりデータサイエンティストに転職するのは非現実的である。

 「少数のエリート vs 大多数の脱落者」の時代が到来する。これまでは「努力すれば何とかなる」社会構造だったが、第四次産業革命では、そもそも競争の土俵に立てる人間が限られている。

 その結果、「雇用の二極化」が生じ。高度スキルを持つ人は収入が増え、低スキル労働者は仕事を失う。収入格差が拡大し、「エリート層 vs 低スキル層」の分断が進む。大量の失業者と社会不安が懸念され、政治的・経済的な混乱を回避するためにも、ベーシックインカム制度の導入は避けられなくなるかもしれない。

 繰り返すが、「格差社会」はこれからますます進み、一部の高度人材が圧倒的な富を独占する構造が生まれる。この流れに適応するためには、企業も個人も、従来の「労働」に依存しない新しい生き方を模索する必要がある。第四次産業革命は、適応できる人にとってはチャンスだが、適応できない人にとっては極めて厳しい時代であることは間違いない。

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