風邪を引かないように、空気を吸わないように・・・

 「立花さんはまさか、計算したかのように(空気重汚染の)中国から逃げ切りましたね」。先日某顧客先でこう言われた。

 たまたま時期的に、私がマレーシアに移住した直後に、中国の空気汚染問題が一気に深刻化したのは確かに事実である。ただ私は占い師ではないし、予測したわけでもなければ、意図的なスケジューリングでもない。そして、毎月1週間以上中国出張、滞在しているので、決して「逃げきり」でも何でもない。

105876_2いよいよ空気汚染がチベットまでか、12月19日頃のラサ・ポタラ宮(上)と通常時(下)の比較(中国ブログ・微博)

 空気の問題だから、国境がない。日本国内大学の研究・予測によれば、汚染はいずれ広域的にアジアの大部分の地域に及ぶ。東は日本列島を越えて太平洋上空、北はロシア国境、西はインドないしアフリカ東海岸、南はインドシナ全域にまで汚染が及ぶという。

 同じ地球をシェアしている人類は、程度の軽重こそあるものの、完全に逃げきることは決してできない。

 最近、友人間の挨拶も「空気、大丈夫か」が主流になってきた。そして、「健康に気をつけて」と言われると、「風邪を引かないように」ならまだしも、「空気を吸わないように」とまでまさかいえないのである。

 さすが、中国の指導者や当局者は国民と平等に同じ空気を吸っているだけに、一歩室外出れば防毒マスクをつけて国賓接見や、公務に取り組むことはできないだろう。

 人間は若い時に健康を犠牲にして金儲けし、年をとると儲けた金で健康を買う、とよく皮肉されるが、中国ももしや同じだろうか。