バスルームの扉

 バスルームの扉を開けると便座にあたる。それでは、安心して用を足せないな。KLのある不動産物件を見学すると、こういうのがあった。

 ある空間にただ、設備を埋め込むだけ。最近の空間設計は、CADを駆使している以上、効率化が最大化される。私は大学で建築を学んで、いまこそ全然違う仕事をやっているのだが、微かな記憶でも空間デザインのことがまだ頭に残っているようだ。

 デベロッパーが開発した団地は、基本的にコストの最小化と収益の最大化がミッションである以上、人間にとってもっとも快適な生活とは何か、そういう配慮はコストが伴う以上、なるべく省かれることはむしろ当たり前だ。

 何もマレーシアだけではない。日本も中国も、数多くの不動産物件を見てきたが、そう大きく変わらない。不動産も量販の時代であって、経済社会の必然的な帰結である。

 ついに、親切に不動産を紹介してくださった業者の女性から、神妙な視線を浴びてしまった。

 「Sorry, I am the minority」。私の価値観もライフスタイルも間違いなくマイノリティーである以上、きちんと説明しないといけない。本当に申し訳なく思っている・・・